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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

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2011年6月7日の投稿

2011年6月8日 »

実は以前にエンタープライズ・サーチのソリューションというモノのマーケティングをやっていたことがあるのですが、そのお陰もあって所謂サーチに関してはある程度の知識を得る事が出来た私。因みにそれを担当していた2003年から2005年の当時は日本に「エンタープライズ・サーチ」という言葉自体が存在せず、サーチというとみんなGoogleやYahoo!などの「インターネット・サーチ」しか思い浮かばないような時代でした。もちろんニーズはあったんですが、なかなか苦労したのは事実。

勿論今でもそのソリューション自体が果たすべき役割というのは全然変わっていませんし、むしろ重要性も何ら変わらないんですが。

 

サーチのソリューションやサービスが何かを生む事はないという事実

これはある意味当たり前です。だって、それが企業内であろうがインターネット上の話であろうが、基本的には「そこにあるモノを舐めてインデックスをつけて探しやすくする」のがサーチだから。つまり、データの入り口として何らかの形でデータを喰わせた時点で過去のモノです。もちろんリアルタイムサーチ的なものもありますが、基本的には喰わせた瞬間から過去のモノ。

ただ、用途的に今の動きを追うのにサーチのソリューションが必要なのかとかの議論は有りますから、一概にそれがいい悪いではなく、必要なときに必要な情報に到達できる仕組みが必要とされるタイミングで手に入ることが重要なので、そこはニーズとアプリケーションの設計の中で定義すれば良い話。

とまぁ、ここまでは一般論。

 

サーチのソリューションやサービスが提供するのは過去の情報であるという大前提

サーチの仕組みに対するデータの投入方法は色々有るんですが、乱暴に大別すると基本的には決まったところを定期的にクロールさせて収集するか、あるいは対象となるデータの塊を事前に用意するか。後者についてはエンタープライズ系で使われる事が殆どでしょうからとりあえず置いておくとして、多分多くの人に馴染みがあるのが前者の方法。

そう。Googleとかのクローラーの動きですね。

定期的にサイトを巡回し、サイト全体や差分を収集し、サービスとして提供するためのインデックスを何かしらの方法と理論によって付加して提供するわけです。そしてその蓄積がいわばサイトの価値となるという評価軸の元、たとえばGoogleはその圧倒的な力を持ってきた訳です。

それがですね・・・

 

サーチエンジンから見つかる情報ってのは何時の情報なんだ?

もちろん何らかのオプションとか色々駆使してレンジを狭めたりする事は可能だとは思うのですが、基本的にサービスを提供する側が設定したクライテリアに基いて結果が表示されるわけです。もちろん私なんかもGoogleやYahoo!を始めとするサービスは頻繁に利用しますが、そこで見つけ出す事ができる情報が何時の情報なのかっていうのが問題になることが実際にあります。

このあたりの話は例のグルメ系情報サイトや旅行系サイト等でも問題になったりしますが、何時誰がどのような意図でどこに突っ込んだ情報なのかというところがとても微妙な話。正確性も勿論ですが、当該サービスの歴史が長くなればなるほど蓄積される情報は古文書化してくる可能性が高くなる。

もちろん過去の経緯とかを調べる際にはそれらはとても良い情報というコトになります。ただ、それを理解して情報に接するユーザーであれば良いのですが、そんなリテラシーをユーザー全体に求める事自体が非現実的です。

そんな中、サーチエンジンのサービス提供側で何らかの意図により不適切あるいは不正確である情報だと判断して結果を表示させないという措置を取る事もあれば、逆に何とかして検索される可能性を高めようとするSEOとかSEMの世界とのイタチゴッコは厳然と存在するわけですし、そもそも営利事業として提供されているという部分を踏まえると、企業倫理という観点はともかくサーチエンジン自体の独立性とか中立性を論じるのは有り得ないということはちょっと考えれば簡単に判ると思うんですが、そこの議論というのはどうしても空回りしがちです。

そりゃ、検索結果が業績に結びついてしまうという現実があれば対策を採らざるを得ないわけですが、何れにせよ「サーチエンジンにキーワードを叩き込んで得られる情報というのは基本的に過去の情報である」という事を再認識して損することは無いと思います。

 

何でそんな事が気になったのか

切っ掛けはTechcrunchで見かけたこの記事。

Facebookにはユーザーの実体があり、そのユーザーのProfileから実際に何をどう行動しているかと言う情報を持っており、それらを元に「自分のユーザーを自分の商材にできる」という決定的にGoogleとは違うポジションを持ってるという主張です。

Facebookの閉じた世界やFacebookのアカウントで他のサービスに入ってゆけるというインターフェイスの部分などを考えると、今や多くの人のインターネット上のある部分の行動が全てFacebookのログの中に日々納まってゆくという状況にあるわけです。別にそれを危険視するか、嫌だと思うかは個人差があるとは思いますが、何れにせよGoogleも知らない自分の動きをFacebookは個人名特定の状態で知っているという話です。

ココから先についてはFacebook自身のガバナンスに期待するしかない部分というのがあって結構しんどい話になるんですが、何れにせよGoogleはインターネット上の全てを把握しているぞ位の勢いであると見なされていたのけれども、実はそうでもない部分も結構あるんだぞということを改めて認識させるに十分だと言えると思うんです。

じゃぁFacebookがGoogleを凌駕してネット上のSuper Powerとなるのか?

いや、そもそも事業領域が違いますから単純には比較できない筈なんですが、企業が大きくなれば事業領域がオーバーラップする部分は当然出てきますし、業界の構図が多極化するよりも巨頭同士の戦いという形で比較できるほうがメディア的にも話題にしやすいので、早晩このような論調が中心となってゆくのかも、という予感はします。

個人的にはその二つだけじゃないだろ?と言う視点を勤めて持つようにしていますけれど。

bibendum_iwa

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プロフィール

岩永慎一

岩永慎一

外資IT、日本のIT系を経由して現在通信事業者に勤務。営業やSE、更にはコミュニケーション系を中心にありとあらゆるマーケティング関連の仕事を経験してきたが、現在は通信業界の特殊部隊として常に完全装備で課題に取り組む。

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