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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

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2011年3月31日の投稿

2011年4月1日 »

今回の震災においてソーシャルメディアと括られる一連のシステムやサービスの有効性、そして負の部分が多く語られています。その多くの論調が「確かに流言飛語に類するデマも多く流れたのだが、概ね機能したといえるのではないか」と言う方向に収束しつつあるような気がします。

私自身、ある部分はその方向での感想を持っています。でも、それは検証の結果のひとつに過ぎないんじゃないかと思うんです。なんかもうちょっと別の方向の話があるんじゃないかと。

 

たとえば東京は被災地域であるという意識があるようで無いような空気

色々御意見はあると思うのですが、被災した内容の違いはあれ、全ての鉄道が止まり、全ての高速道路が閉鎖され、場所に寄っては液状化などでも大きな被害を出した東京は立派な被災地であると言えると思うんです。ただ、幸せな事に多くの場所で基本的に電気もガスも水道も使える状態であった訳です。だからこそ、発着信規制がかかっていたにしても既存の無線通信インフラが使えましたし、有線通信についても基本的に使える状態であったわけです。よってもってTwitterなり何なりで情報を共有する事ができたのは事実。逆に、通信インフラに大きなインパクトを受けた被災地においては何も出来ないわけで、当然のように例えば東京などで飛び交っていた情報に触れることは出来ないということで、ここでは全く駄目。

ソーシャル云々と呼ばれる多くのサービスやシステムというものは・・・これは他の機器やサービスにも通じるところがありますが、基本的に全ての環境が整っている状態でこそ利用できるものであり、インフラ自体は空気みたいなものとして意識すらしていないわけです。

ただし、たとえば何か起きたときにどうなるの?みたいなコトを普段から考え続けたり、そのために何かを備えて置いたりするのは簡単なコトでは無いのも事実。だからこそ普段から何かあったときのための備えが必要だったりするわけですが、「災害は忘れた頃にやってくる」の例えのとおり。

いずれにせよ、まず今の世の中、身の回りにあるモノというのは基本的に平時のためのモノであり、それらが必要とするインフラがキチンと機能してこそ便利であるというコトをまず理解しておく必要があると思うんです。

 

緊急時に頼ったメディアでも、実は利用している環境は平時のものであったというテレビ放送のインターネット経由での送信

NHKなどの放送局がYoutubeやニコ動などを通じて放送を配信した事が非常に大きな話題として取り上げられました。実は3.11の地震のときにオフィスにいた私もYoutubeでNHKを見ていました。実はワンセグで見ようとしていたのですが、居場所の問題でぷつぷつと切れることから飛びついたわけです。本当はワンセグの方を見ていたかったんですけどね。

でも、冷静に考えるとこれは「そこに電気が通っていて、そこにPCがあったから出来た」んですよ。たとえPCがあっても停電していたり、あるいは外出先でAC電源が使えない場合にはバッテリーの残量分だけしか見る事が出来ない。確かに状況は非常時でしたが、その恩恵を受ける事ができたのは平時の状況が維持できていた環境にいた人だけ、というコトを忘れるべきではないと思うんですね。ただ、もちろん、平時であればこのようなソリューションが生きることはあると思います。放送局自体が最初にゲリラ的に始まったテレビ画面の中継を黙認し、結果的に自社から行ったというコト自体は非常にエポックメイキングな出来事だと思います。でも、使いどころがあり、使えないところがあるという部分を意識しておかないと、訳もわからず「勢いで実現できちゃった通信と放送の融合バンザーイ」と喜ぶべき物ではないと思っています。

 

そして避けて通れないデマの類が流れる事、【拡散希望】という書き出しが嫌いになった事、そしてソーシャルな何かの立ち位置

実はこの話に近いところを3月16日には事実とは何か、真実とは何か。そして雑学のススメというエントリーで、3月17日には正しい情報を流通させる唯一の方法は、自分が一次ソースではない情報を自ら一切流さないという解決策しかないというエントリーで書きました。その時点で私のTLにも見るに耐えないデマと呼べる情報が誰かのRTやら何かで乱れ飛んでいました。もちろん私の専門外なことで正否の判断が全く出来ないものもありましたし、そもそもそれは違うと判断できるものもありました。でも、それらが流れ始めた段階では一種の集団ヒステリーに近いことも起きるわけで、下手にそれらを理詰めで否定したり訂正のための解説を行おうとしても上手く行かない・・・くらいなら良くて、下手をするとエライ目に遭ったりするし、実際にそうやって揉め事になっている一連の流れを幾つも見ました。

たとえばTwitterでのFollwerが数千数万もいるような著名人であると目される方であっても何かの勢いで正しくない情報が広がるのを助けてしまったようなケースもありますし、それとは別次元でただひたすらオカシイ情報を流される方もいらっしゃいます。もちろんそれらの方々全てが全知全能であるわけでもなく、自分の専門外の事については誰とも同じように自分自身のそれまでの理解や勢いやら何やらでその情報の裏を取らずにそのまま伝えるというコトはあるわけですし、今回の流れでも多く見ました。

因みに誰かが何かしら情報展開を求めるときに良く見かける【拡散希望】という文字列に対しては既に非常に嫌悪感すら覚えるようになって居ます。もちろんソーシャルな何かの世界において情報展開は必ず人づてになるわけで、よってもって誰かに依頼するというコトから付くわけですが、それ自体に何かしら意図的なものを感じる事が頻出したお陰で、もうなんだかこの【拡散希望】という文字列を見た時点でなんだかなぁと思うことが増えたのは事実です。内容を読む以前に。

 

非常時におけるソーシャルな何か

ただ、これが平時であればまだいいんです。所詮Twitterは人の独り言や誰かとの話を覗き見してるわけですから。でも、少なくとも関東から東北にかけては明らかに平時ではありません。たとえば南関東は表面上落ち着きを取り戻していますが、物流やら雇用やら電力供給やら何やら、非常に多くの面で不安を抱えたままであり、かつこれらの全てを一気に解決する事は不可能な訳です。

でも、じゃぁ非常時なんだから情報統制するのか?というのとはちょっと違う。誰の発言が正しいのかなんて担保できる人も団体もありません。もちろん専門家と呼ばれる人はその専門性を持った分野において専門家カテゴリーに属するかもしれませんが、たとえば細分化された専門分野のどれを担当してる人が目の前の事象に対して的確に答えることが出来るのかなんてのはよく判らない。

でも、今回関東から東北にかけて襲い掛かった災害では人の命がかかっているケースが多いわけです。そこはちょっと考えなくてはいけない。

あるいは、情報の正確性を誰か担保する前の情報が、あるいは正しいはずの情報の一部だけが広がってしまうことが事実あるわけです。それはリスク要因。

また、本当に酷い被害を受けた場所でこれらの情報を常に参照することができる状況になるのは大抵被害を受けてから随分先の話であり、一生懸命に誰かがまとめた何とか情報というのが利用され辛い問題があって、これは現地が何とかならない限りどうしようもないんですけれど、それも意識しておくべきリスク要因かと。

そしてそもそも誰かの思い込みや、あるいは何らかの意図をもって作り出されたデマの蔓延というリスクは常に内包しているわけです。

因みにソーシャルな何かを使える状態であることが多く、そこから情報を得る事が容易な場合、実はそれが出来ない人とのギャップがあるというコトを忘れる場合があります。例の買占め騒動のときでもそうですが、一度リアルな口コミに渡ってしまったデマを消すのは大変です。ネット上で如何に否定し訂正しても、既に別のメディアにのって流れてしまっているわけですから。そしてそういう情報が大抵何かしら不安をあおるものであるわけですから、そもそも始末に負えない。

 

異論反論諸々あるとは思いますが、私自身、じゃぁどうあるべきなのよ?という結論は出ていません。でも、一連の流れを眺めながら、ずっと頭から離れないんです。自分の中でどうしても上手く説明できないんです。ということで、当面の自分の課題となりそうなのがコレ。

そもそも「ソーシャルな何か」とは一体何ができるんだろう?

bibendum_iwa

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プロフィール

岩永慎一

岩永慎一

外資IT、日本のIT系を経由して現在通信事業者に勤務。営業やSE、更にはコミュニケーション系を中心にありとあらゆるマーケティング関連の仕事を経験してきたが、現在は通信業界の特殊部隊として常に完全装備で課題に取り組む。

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