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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

« 2011年2月28日

2011年3月1日の投稿

2011年3月2日 »

どのような種類のプロジェクトであっても通常はその計画から実施までの要員を全て当初から確保して進めるというのは難しいものです。普通であればある程度小さめの組織で企画を開始し、必要とされる機能の部分から順次増強し、最終的な現場臨んだ後は順次縮小するというサイクルを取る訳です。

当然後から追加されてくる要員はそれぞれの思惑と理由があって投入されるわけで、最初からそのプロジェクトを引っ張っている人と全ての価値観を共有することなんて出来ない。もちろんそれをするのがプロジェクトの管理者の仕事でしょ?という議論はあるわけですが、実際のところ非常に難しいものです。

もっとも、最初からそれは無理だからという(諦めではなく)理解の元にプロジェクトを進めるという方法はあります。目的を共有できれば、というコトが出来れば、と私は自分の経験から信じていますけれど。

 

共有と相互理解の違い

違うバックグラウンドと違う考え方を持った人たちが集結して一つのプロジェクトを進める事って、ビジネスの場であれプライベートであれ、多く存在するはずです。規模の大小を問わなければ基本的に誰かと何かをするって言うのは全て人ととして同じような行動をとるものです。

で、大抵の場合、というかある部分に誰かの思いいれが非常に強いものに後から入ってきた人は、そのプロジェクトの意義や価値観を共有してくれという要求に戸惑うものです。そんな中でも、向かうべきなのはどこで、そこで何を実現したいかっていうところの方向感だけは共有できる種類のモノじゃないかと思っています。

何しろそれぞれの専門性から物事への取り組む姿勢から何から全部違うわけです。状況によっては人種や言語も文化的背景も全く違うチームで物事を進めるしかない状況など、その最たるものです。ただこれは極端な話ですが、普通に日本国内での、普通に目の前にあるいろんな仕事やプロジェクトでも多かれ少なかれそんな状況があるはずです。

そんな中で、同じ価値観の共有というのはとても難しい話。でも、違いを理解し、お互いの役割を理解する事は出来るはず。そしてそれらの良い点をまとめて同じ方向に向けてゆくのがマネジメントの仕事だと思うんですね。私は。

ちなみにこれを私自身はプロデューサーモデルと言っています。そして、各パートを任せられた人間はいわばディレクター。その下のスタッフィングやオペレーションは、それぞれのパートが果たすべき役割と他のパートとの相互関連性を理解していれば基本的に前に進めることが出来るはず。

そんな思いがあるんですよ。

 

でも実際問題、そんなに物事は単純では無いし簡単に物事は進まないわけで

大木さんの2月28日付けの「東京マラソンで感じた、ボランティアのマネジメントの難しさ」というエントリーにある、ボランティアを一定の方向でまとめることの難しさというのは、その難しさを端的にあらわしている気がします。ここにバイト代なり給料なりが絡むともう少しコントロールしやすくなるのですが、基本的に無給のボランティアで構成されるとなると、それぞれの参加者がどういう意識でそこに関与しようとしているのか、与えられた役割を果たす事にどれほどの義務感や使命感を持てるかというのがとても大事になると思うんですね。

でも、その感覚や目的意識を共有する事っていうのは実はとても難しい。

たとえばマラソンでも何でも良いのですが、お手伝いする何かを自分でやった事がある、もしくは別の形でのお手伝いの経験がそれなりにある場合には現場の動きも当然違ってくるわけですが、そうではないと中々動けない。

でもこれはまだ良いほうで、実際には「参加することに意義がある」系の気持ちを持つ場合だととりあえずその場に居ることで満足してしまうので、変な話競技が始まれば気持ちの上では終わってしまうわけです。あとは終わるのを待つだけ。

でも、それを否定するのは簡単ではありません。だって無給なんですから。

そんなことを考えると、たとえば小額でも日給を支払う雇用契約があったほうが物事がスムーズにいくんじゃないの?とかも考えるんですが、純粋に商業ベースなモノとは違う立ち位置がある中では簡単ではないのは理解していますが。

 

で、ぐるっとまわってマネジメント論に少し落とすとですね・・・

目的意識の共有というのは至難の業だと思う、というのがなんらかのプロジェクトにおける私の最初の認識。

でもお互いがそれぞれ役割を持って集まる事ができるなら、その相互理解をはかる事は可能なはず、というのが二つ目の認識。

そして、全く違う思惑と目的意識と背景をもったチームの目を同じ方向に向けさせるのがプロジェクトマネジメントの根幹であり、私はそれをプロデューサーモデルと呼んで見たりしています。

もちろんプロジェクトを転がす側、つまりワタシ的に言うとプロデュースする側の役割としては、みんなが目を向けることが出来るほどに目的を判りやすく説明することと、実働チームがそれぞれの思惑とかありつつも、それぞれが目的の為に最大限動ける環境を用意すること、そしてそれを維持することだと思っています。

 

因みに、若気の至りというところまで含めて、でもそんな気持ちを持って過去20年くらい色々と物事を転がしてきた経験はあるんですが、まぁそんな経験が生きる場所って今の世の中どれほどあるのかな?とか思うという微妙な時間をすごしているってのがまた微妙ではありますが(笑)

 

bibendum_iwa

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プロフィール

岩永慎一

岩永慎一

外資IT、日本のIT系を経由して現在通信事業者に勤務。営業やSE、更にはコミュニケーション系を中心にありとあらゆるマーケティング関連の仕事を経験してきたが、現在は通信業界の特殊部隊として常に完全装備で課題に取り組む。

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