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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

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意見の中立性を誰がどういう立場で担保するのか。そもそも中立性とは何なのだろうかということをかつて編集姿勢の偏向は当たり前だと思い続けたい私は変かな?というエントリーに書いたことがあります。どんな主体であってもそれ自身の軸で何かを伝えているのであって、その軸が自分にとって受け入れられるかどうかが情報の受け手の選択肢として存在しているというのが私の持論です。ある程度の幅では受け入れられますが、誰しも絶対に触れて欲しくない方向や、許せない表現というのはあるものだと思います。でも、その判断の軸も受け手側の判断。そこが難しい。

 

職業として意見を述べるということは責任を負うということ、だと言う理解

たとえばこのオルタナティブブログという場をはじめ、「素人」がそれなりの顔をして意見を述べることが出来る場、というのが数多く出来てしまっている現在、プロのメディアとしての立場でモノを言っている人との境界線が非常に曖昧になっているということは感じます。

とはいえ不肖岩永は明らかに素人ですし、文体も内容も稚拙なものです。もちろん自分で色々と努力はしているつもりですが、職業として文章を書くということはしていませんから、どうがんばっても「素人」です。

それに対して、記名であるかどうかに関らず、職業として文章を書いている場合、そしてそれがいわゆる「媒体」に分類される場で表現される場合には、やはり「素人」とは異なる責任がそこにあるのではないかと思っています。一方的な私の理解ですが、上手い下手を問わず、好き嫌いも問わず、それはプロの仕事であると思っています。

私がプロの書き手に対して求めるものというのは私の言い分ですからどうでも良い話ではありますが、ある媒体の名前、あるいは自分の名前で書く文章というのはやはりそこには「素人」が書くものとは違う責任があるはず、と信じたいとは思います。

そして、その内容を掲載あるいは報道するメディアとしての責任も当然あるわけです。

 

個人で負える責任と、もっと大きな立場で負うべき責任

メディアの興亡論の中でのニュースメディアの行く先という部分がよく話題になります。特に米国で新聞社が店をたたむ、あるいはWebに特化するという変容をしているケースがあるといったモノがその表立った動きのひとつなのだとは思います。ただ、どういう形であっても中身を作り上げるという主体の問題は付いて回るはずですし、そこが存在の根幹だと思っています。

もちろんビジネスとしてその実体を維持することと内容についての主体性を維持することとは別次元の話ですから素人の私が四の五の口を挟むべきものではありませんが、とりあえず一個人としてメディアに求めるのは何かを伝えるという主体性の部分。

たとえばこの主体性というもの。Webのカタチであれ雑誌のカタチであれ、もちろん新聞のカタチであれ、その主体性は存在できるわけですが、それぞれのカタチに於いてのみ成立するものがあったりするわけで、簡単にカタチを変えるわけには行かない。下世話な話をすれば、その裏側に関係者の生活や信条が絡まっているわけで、単に新聞のカタチじゃダメだからWebに変えますーみたいな議論が出来るわけでもない。

難しいのは当たり前。やっぱり難しい。

 

ダラダラと眺めるメディアに期待する主体性

テレビはもうダメだよ論。いっぱいあります。特に報道についてはWebに置き換わっても良いとかいろんな話はあります。でも、特定の時間になるとその日の一日の出来事をそれぞれの視点で(これが流す側の主体性)まとめて教えてくれるテレビの存在がなくなるのは、個人的には困ります。疲れ果てて家に帰ってWebの画面でニュースを追いかけるのは余程気になるニュースがある日くらいで、基本的にはお茶漬けなんか掻き込みながら、新聞の上とテレビの画面を目線が泳ぐ時間がやっぱり大好きです。

たとえば、「やっぱりこの局は偏向してるんだよな」とか、「このキャスターの意見には心底むかつくー」なんてブツブツ言いながらも、ダラダラと見ていたりするわけです。だって、そこにあるのは多様な意見。それが欲しいわけで、誰かがワタシの好みを分析した結果のリコメンデーション情報なんかいらない。そんなの後で自分で考えます。リコメンデーションなんて、飲み屋検索サイトのお勧めのお店だけで充分です。自分の好みで集められた情報じゃない。そんなのばかりを見てると絶対におかしくなる、と信じてる部分があります。

ワタシって、旧い人なのかな?

 

bibendum_iwa

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岩永慎一

岩永慎一

外資IT、日本のIT系を経由して現在通信事業者に勤務。営業やSE、更にはコミュニケーション系を中心にありとあらゆるマーケティング関連の仕事を経験してきたが、現在は通信業界の特殊部隊として常に完全装備で課題に取り組む。

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