« 2007年10月16日

2007年11月16日の投稿

2007年11月19日 »

 皆さんの中で大組織に所属し、この問題にそれとなく不満を抱いている方は多いだろうと感じる。かくいう私もかつてそうだった。このネットワーク時代、確かに事務職や技術職ではインターネットが職場に普及し、情報収集や連絡作業、確認業務などの処理量が飛躍的に拡大はした。一見、有効に機能しているような気がする。がしかし、実際は業務のカバー範囲を広げることにはネット環境は役に立っているけれど、コミュニケーションの精度・密度を向上させ、業務のアウトプット向上に役立っているのかと・・・・・?

大組織、総身に知恵は回りかね?

 組織というものは、小さいうちは社内のコミュニケーションが問題になることは少ない。やはり組織が大きくなっていくにつれて、顕在化していく傾向がありそうである。総人員が百人を超え数百人の規模ともなると、階層が増え、組織がピラミッド化する。大企業と呼ばれている企業は、課長の下に数十人、場合によっては百人を超える部下を持つことすらある。さらには、企業内だけでなくグループ会社や関連会社まで通しで階層化されている。グループ会社まで含めて初めて、ビジネスモデルが完結するのだから当然に業務フローは会社を超えて流れていく。

このように大人数、多階層もしくは長い業務フローをもって仕事を進めていく場合、避けて通れないのが、上位階層の末端組織に対する実態・状況把握が、間接的になって不正確となり、指示命令・メッセージは理解されにくくなっていく、という厳然たる事実があることだ。本来あるべき建前では、こんなことはあってはならないことは言わずもがなである。しかしである、この事実を前提に、組織や企業を考えていかないと本当の企業内コミュニケーションはとれないし、使えるイントラシステムの構築や情報共有化、ナレッジ・シェアなどは絵に描いた餅にすぎない。

これが、企業人になかなか心底徹底されているとはいいがたい。古今東西サラリーマン世界では、課長が部長をすっ飛ばして役員に「メッセージが課長の私のところまで来てるか不安です!」などと直接言ったらどんな目に合うか、たいがいの人は分かっているので、減衰してきた情報に基づいて責任範疇の業務をこなしていき、それ以上考えないことにするのが普通だ。これを日本社会では、「一人前の組織人になった」と同義語にしている会社は多い。あなたの会社は、どうなのであろうか。

組織とコミュニケーションのパラドックス

それでも、組織が回っていくのは、大きな組織になると、組織そのものに安定感が生まれてくるからで、少々目が届かなくてもビジネスモデルそのものが揺らぐことはない。業務として定形化され、組織としてもビジネスとしても確立されている。

実は、これが社内コミュニケーション問題の本質だ。つまり、組織が拡大し業務フローやプロセスが安定し確立していくと、組織や企業の生産性は上がるが、それに反して組織や社内コミュニケーションの活性は下がっていく。こんなパラドックスがあるように感じられる。

実はこんな体験をしたことがある。

私がコミュニケーション領域の仕事でお目にかかった実際のお話なのだが、ある企業の本社機能部門の責任を持つ執行役員から、「うちの会社の事業部や組織は皆やるべきことが決まっている。それぞれ現場部門は責任を果たせば何の問題も起こらないハズだ。それで会社は動いていく。事業部門がやるべきことに本社は口出す気はない」という意味の指示をしていたことを思い出す。これは兆候ではなく、すでに組織の形骸化が相当進んでいると見た。

これが本社だけで済んでいるうちはいい。本社は「ごく潰し」だとか「不労所得者」だとかいわれる所以だ。しかし、先に挙げたような組織がタコつぼに入ったようなふるまいを全社的に見せるようになると、他部門からの牽制が利かなくなって歯止めが利かなり、ネガティブスパイラルに勢いがついて抜け出せなくなってしまう。ここまで行かなくても、そもそも個別最適の集合は全体最適になるとは限らないのである。常に経営トップが全体最適を目指して、本社機能を駆使しながら様々な現場部門を「調整」していかないと、取り返しのつかないことが起こる。ここまで来ると、相当に頑固な「サイロ」だと言う他ない。あまり、お目にかかりたくないお話である。

 階層組織が大きくなればなるほど、組織運営の上手い下手が如実に表れてくるものだが、そもそもの原因やその理由が本格的に分析はされているとは言い難いのが日本のビジネス現場の現状だ。理論としては、大学などの研究分野で議論百出だが、現場ではマネジメントや経営層が本格的なメスを入れて分析研究し、経営課題に掲げて表明している経営者は数少ない。

「大組織、総身に知恵は回りかね」を放置しておいていいはずはない。これから何回か「組織」について気づいたことを本ブログに書いていこうと思う。

Patina

« 2007年10月16日

2007年11月16日の投稿

2007年11月19日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

奥田隆介

奥田隆介

只今、新たなコミュニケーション・フィールドに挑戦中!
広報・コミュニケーションと「モザイク」以来の知見をベースに、IT/Webによる新たな情報活用をライフワークとしている。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
最近のトラックバック
カレンダー
2012年9月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            
okuda
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ