企業内のブログやSNSは自由にやらせるのがいいのか、会社として統治・統制していくほうがいいのか?という問いに対して私の考えてきたことを聞いていただきたいと思う。
ただし、企業や組織においてコミュニケーションの生産性向上やコスト削減と本件が無関係だというのであればまったく別問題であって、私が出る幕ではないことをお断りしておきたい。

 結論から申し上げると、企業がその生産性を高めるためには、基本は企業のガバナンス(統治)下に置くべきだと考える。
「基本」と「基本でない」の境目は何かというと、主にPCを日常使用している人員規模と空間的マネジメント範囲の違いで大きく異なるだろう。まず人員規模だが100人-200人規模までならガバナンスがなくても一人の人間の目が届く。1000人規模ではガイドラインを用意してのガバナンスが必要になると思う。空間的マネジメントとは、東京、名古屋、大阪のようにディスタンス(遠隔)マネジメントが必要だということで、もう少し規模が小さくてもガバナンスが必要だと思う。また、一本のビルに5000人位の社員が働いていても、ほとんどガバナンスがいらないケースもありうるのは想像に難くない。基本はガバナンスありきで、必要ない場合というのは通常のマネジメント範囲だったり、社員の価値観がそろっていることでカバーされていたり、企業内サイトが既に構造化されていて、たまたま必要がないということだと思う。

さて、ではどのような基本的ガバナンスが必要なのかお話したい。

<基本コンセプト>
1.ブログやSNSばかりでなくすべての情報共有&コミュニケーションツールは、全社サイト(ex.EIP)の傘下にいること。全社サイトがなければ、会社は将来の権利を担保する必要がある。
2.全体サイトにあるブログやSNSの存在が、全社員(関係者)から見えていること。
3.個別最適は全体最適があって初めて存在意義があることの徹底。全社問題を、部門SNSが取り上げて、全社サイトと重複したりしないことである。

<運営コンセプト>
1.市場原理に基づき運営する。
つまり、社員なら誰でも新設できることとし、開設目的をクリアできない場合は閉鎖する。併せて、再開設は容易にできるようハードルは下げておく。これは、ブログやSNSが一部の人の既得権益にならないように、かつコミュニケーション機会の公平性を維持するためである。また、情報やコミュニケーションの信頼性の獲得のためでもある。コンテンツの中身で評価または淘汰されるのは道理である。
2.実際の開設にあたっては、計画書(目論見書)の提出ぐらいは必要。当然、目論見通りに進んでなければ閉鎖の勧告もいとわない。
3.必要に応じサイト監査を行う旨を宣言しておくこと。サイトログを管理し、サイト内コンテンツも監査対象とするのは当然。
4.インフォーマルコミュニケーションへの活用
企業によって何がフォーマルかは異なるが、多くの企業で認められている「同期会(古手も)」「同郷会(県人会)」「同窓会」「プロジェクトOB会」「スポーツ等クラブ同好会」「企業内学校OB会」「海外支店の在留邦人会OB」など様々あると思う。これらは、会社側が積極的に「場」を用意してあげるべきかと思う。
裏でコソコソとメールやペーパーが大量に行き交うのは、フォーマル業務にとってマイナスとなる。また、壊れかかった共同体を修復することにもなるし、情報共有のフェイルセーフ機能も持ってくれるのではないかと考えられる。

 これら特にインフォーマルコミュニケーション領域に関しては、異論、反論、オブジェクションがあると思うので、私の考え方を書いておきたい。実はこちらの方が重要だと思う。

 日本人による企業や役所などの組織は、欧米と異なって徹底した目的達成型の「機能集団」にはなっていない。姿形は機能集団だが、実態は「共同体」だ。そこに帰属することが目的になる。それが証拠に、会社に入る際に職務マニアルの項目ごとに賃金単価を確認し、合算して年棒○○○万円と合意して契約書にサインするなどしていない。「では一緒に働きましょう!」が入社OKのサインだ。要するに、高級ゴルフ倶楽部への入会審査と同じで、日本企業は言ってみれば「会員制クラブ」だということだ。
しかし、共同体でありながらその基本となる帰属意識や組織の規範が崩れて来ているのが、多くのリストラを実施してきた企業の職場だ。多くの企業が成果主義人事制度を導入して仕事のやり方を変えてみたものの成果が出ず、モラルだけ下がったという話もよく耳にする。個人の作業と責任を明確にしていこうという動きは、市場での競争がなくならない限り、今後も強くなっていくだろう。
ともすると個人が孤立してしまうような趨勢のなかで、その反作用として、多くの人がコミュニティづくりに価値を見出しているのではないだろうか?
ブログやSNS活用を生産性を追求する業務領域に加え、インフォーマルコミュニケーション領域への利用を提示したのは、そのような理由からだ。
 社員個人同士のつながりを物理的なオフィスづくりで実現するか、サイバーなブログやSNSで実現するかは別問題として、会社自身が自分の会社の中のコミュニケーション機能を責任もって設計・施工・整備していくのはしごく当然のことではないかと思う。
社員も会社も得をすると、私は考えるのだがいかがだろうか。

Patina

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コメント
yutakarlson 2007/09/21 14:50

私も当然会社のガバナンスのもとに設置すべきと考えます。
卑近な例では、秋田県のある職員が天皇陛下の僥倖に際する情報を配信するときに、「悪天候」のつもりで、「悪天皇」と書いてしまったそうです。
上司のチェックも受けずに出してしまったそうです。人間ですから、意図しなくても間違いやど起ることが考えられます。これは、ほんの一例です、個々人が責任を持って使わなければ、とんでもないことになるおそれもあります。
アメリカでは、もう10年以上前から、共同体が重要だとか、西欧型個人主義ではやっていけなくなっているとの研究が進んでいます。
このコメント欄では、書ききれないので、以下のブログよろしかったらご覧下さい。
http://yutakarlson.blogspot.com/2007/04/blog-post_1143.html
http://yutakarlson.blogspot.com/2007/04/web20.html
利己的な人間に満ちた会社、プロジェクトは失敗します。

奥田 隆介 2007/09/22 01:02

yutakarlsonさん
奥田 隆介です
コメント有り難うございます。
 多くの日本企業は自分たちの持つ共同体的体質を忘れてしまったかのような振舞いをしています。あるものはあると認識して、機能集団として目的達成行動を研ぎ澄ましていくというのが、日本企業が作り出さなければならない文化風土に根ざした日本式マネジメントではないでしょうか。
今後ともよろしくお願いします。


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