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Web2.0時代の企業広報・コミュニケーションと情報活用を再考する

広報は、コミュニケーション・ギャップをあまねくマネージする!

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広報のミッションとは? 

 広報って何すんのと問われたら、「広報は、コミュニケーション・ギャップをあまねくマネージする」と私は答えてきました。広報の仕事は、このフレーズに尽きます 

 「あまねく」とは何だというと、すべてにわたってということです。 

企業広報であれば、各種メディア、取引先、顧客、地域社会、社員、株主、行政、つまりステークホルダーと事業活動の、行政広報であれば市民住民に至るまでのコミュニケーション全般にわたって目配り気配りをしなければならないということです。つまり責任範囲ということです。新聞社から問い合わせを受けたら、その領域分野は広報の対象外ですなどとは口が裂けても言えないのです 

また、「マネージする」とはどういう意味かというと、まず広報に与えられたリソースで「ギャップの解消」に向けてあの手この手でもってなんとかするということになります。解消に向けた、情報発信、情報開示、透明性確保など最大限の活動を継続していくことです。 

しかし、ここで肝に銘じておかなければならないことがあります。全てのコミュニケーション・ギャップを「解消」するのではないのです。 分不相応の人・モノ・金を投入しても、いかんとも埋めようのない「ギャップ」は多々存在します。この種の「ギャップの存在」を認識し続け監視下に置いておくことが重要です。事故や社員の不祥事、天災天変地異など想定外かどうか微妙な出来事をきっかけに、炎上やら信用失墜やあらぬ風評被害に巻き込まれないとも限りません。これらのリスクが、組織の存在意義やトップの運営能力への疑問符に発展させないような、コミュニケーション活動を平生マスコミやステークホルダーとの間に、加えて組織内で継続しなければならないのです 

広報とは、体のいい予算ゼロの「販促」ではない 

この疑問符への発展を阻止するコミュニケーション活動を、「コミュニケーションリスク・マネジメント」といいます。ここに、広報機能がリスク&危機管理と一体不可分の関係にあることがお分かりいただけると思います。企業や組織の最大のリスク・危機は、実態はどうであれ社会の一員としてふさわしくないと烙印を押される可能性をゼロにすることはできないということです。実態がどうであれというのは、理不尽のようですが、思い込みやイメージで一方的に企業や組織の未来は決め付けられてしまうことさえあり得るのです。これらに不用意に反応すると、顧客が離れ、取引先が横を向き、金融機関が火の子を被りたくないと判断した瞬間に企業や組織の命運は尽きるのです。そして、メディアが引導を渡そうとするのです。 

このような認識を持たない広報とは、体のいい予算ゼロの「販促」に他ならないと断言できます 

広報はプロフェッショナルの仕事 

 私たちは皆、毎日さまざまな事を見聞し、また読んだりすることで、「へ~、ーなんだ」とか、「なるほど!」とか、時には「そんなワケないだろ!」とか新たな情報に遭遇、もしくは浴びながら暮らしています。しかし、必ずしも必要な情報が必要な時に十分に得られているとはいえません。知らぬが仏とばかりに、知らなくてもなんとかなるもんだと、実に太っ腹な時もあります。しかし、他人がまだ知らないような新しい話を聞くと、「ねえねえ!知ってる?」と、つい人に話して情報ギャップを埋めてあげたくなるのは、古今東西人の世の常です。メディアはこの人の性を頼りとした文明発展と社会改善のための情報産業です。 

 広報は、このような人間の習性を理解しながら、特定もしくは不特定多数の人間を対象に、メディアを通して、ときに自ら直接にギャップを埋めるため情報発信します。その際は情報の受け手の心の中でどう刻まれていくのかをイメージしながら、情報やメッセージの内容およびフロー(経路)をデザインし施行実施するのがプロフェッショナルの仕事です。 

 

 ずいぶんと話が拡がってしまいましたが、企業や行政の広報という領域で約20年間やってきた経験から、私にはどうしてもこのように答えざるを得ませんでした。 

 

次回は、広報と広告について押さえておきます。 

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