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Web2.0時代の企業広報・コミュニケーションと情報活用を再考する

情報共有の“情報”を一羽ひとからげにしてませんか?

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情報共有の“情報”を一羽ひとからげにしてませんか? 

 今回は、コミュニケーション・ギャップの唯一の解決策であるといわれる「情報共有」について掘り下げます。 

まず言っておかなければなりません。情報共有は口で言うほど簡単じゃありません、一筋縄ではいきません!侮るなかれ!です 

 情報共有という言葉は、組織で働く人なら、しばしばというより耳タコでしょう。かく言うわたしもしょっちゅう聞いてきたし口走っていました。 

しかし、なかなか情報共有」は上手くいかないのです。 

なかなか上手くいかないものだと考えるようになったのは、30年くらい前で係長になった頃でした。その前は、情報共有を要求された場合は、その気になっていただけでした。分かったと思い込んでいただけといってもいいかもしれません。一方、人に要求した場合は、なんて理解の浅い奴だとか話をよく聞いてないのではとよく思っていました。自分においても他人においても、「分かった」と「分かったつもり」を判別することは、ほとんど不可能です。実は、この世には、「分かったつもり」しか存在しないかのようです。 

 とにかく結論は、情報共有とはなかなかできないものだ!ということです。 

簡単に「おい、みんなで情報共有しておいてくれ!」などと部下に軽く指示を与えるような上司は人間理解力、人間力に問題があるということも、先に申し上げました。自分の反省の上に立って考えても、全くその通りです 

 特に、情報が命とも言うべき仕事に就いた広報に携わる人にとっては、情報をブレークダウンして考えることが必要です。 

データ・情報・知識・知恵 

 情報共有という際の「情報」とはなんなのか?掘り下げてみます。多くの人は「情報」という単語を、あいまいな定義のもと、つまりいい加減に使用していないでしょうか? 

私は、「情報」を四つに分けて考えています。 

「データ」、「情報」、「知識」、「知恵」です。 よく見る分類ですね。

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私なりの定義は以下の通りです。 

 まず、「データ」とは、価値のあるなし意味のあるなし係わらず自分自身で体験し記録に残せる事実(FACT)すべてです。1次情報と呼んでいます。数値などの定性データばかりでなく、非定性データのメモランダム、発言内容、レターなども含みます。記録に残せる5WHすべてで、評価・加工される前段階のものです。他人の集めたものは、1.5次情報とも言います。 

 次に、「情報」とは1次情報や1.5次情報を受けて、情報の受け手によって分析され意味づけられ、評価されて解釈されたものを言います。2次情報と呼んでいます。往々にして、断片情報であることが多いのですが、次の行動に進むためのラスト・ピース情報として扱われます。集計、統計、時系列、前年対比データなどのように意味付けされたデータ群をさします。また、報告書、発言録、議事録、指示書なども含みます。さらには、背景情報、周辺情報などといわれるチョット漠としたものもあります 

なお、3次情報と呼ぶものがありますが、これは伝聞情報や引用情報のことをさします。 

 さらに、「知識ですが、特定の目的に則して、評価・加工され継続して価値あるものと意味づけされた情報の体系のことです。例えば、評価手法、分析手法、手順(マニアル)、トレンド、方針、ガイドライン、ルールだとかがこれにあたります。また、歴史的経緯情報やノウハウ、ノウフ-(Know‐Who)などは重要な情報です。これらは、知識情報ともいいます。  

 最後に、「知恵」ですが、課題・問題解決力またはその方策のことです。それは、価値観、課題設定力、判断能力、決断力、予見力、危険察知力、 不測事態への対応力などがこれに相当するのではないでしょうか。これはもはや、知識とはいえず、知識の活用力と言った方がいいものです。 

 

 先にあげた上司がいう「情報共有」は、データの共有なのか、情報の共有なのか、知識の共有なのか、それとも知恵レベルの共有を要求しているのか、それが問題だということです。また、世の多くの上司たちは部下たちがてんでバラバラに受けっとっている可能性にも無頓着です。 

判断基準を持ち計算づく指示を出しているケースは極めてまれでしょう。少なくとも私がお目にかかったことはほとんどなく、35年間のサラリーマン生活で数度しかありません。 

このように、共有すべき「情報」を四つにしっかり分けて考えることが、「情報共有」の質を高めていくために重要です。 

次回は、この4つの分類をさらに掘り下げてみます。 

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