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何を今さらの話と思われるかもしれませんが、著作物とは何かという話が続いてますので、その流れで書いておきます。
今のところ、学説においても判例においても、新聞・雑誌等の記事の見出し、小説・楽曲・番組等のタイトル(題号)は著作物ではないとされています。「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術美術又は音楽の範囲に属するもの」とはみなされてないということです。感覚的には、たとえば(「世界の中心で愛をさけぶ」の元ネタとされる)「世界の中心で愛を叫んだけもの」(ちょっと修正:コメント欄参照)なんかは充分に創作的な表現ではないかと思いますし、俳句の「咳をしても一人」が著作物なら「世界の中心で~」も著作物であってもよさそうに思えますが、解釈としては著作物ではないということです。
新聞の見出しについても、記者の方は短いスペースでインパクトのある表現を目指して相当な創作的苦労をされていると思うのですが、やはり著作物とはみなされていません。新聞の見出しが著作物でないという点については、読売新聞社が自紙の見出しを勝手に配信したとしてネット・サービス業者のデジタルアライアンス社を訴えていた事件において2005年に知財高裁の判決が出ています(判決文はこちら(PDF))。
見出しそのものが著作物だとするとリンクを張るのにも許諾が必要になってしまうケースも出てくるでしょうし、Google Newsだとかはてブのようなサービスも根底からくつがえされることになってしまいますので、まあ妥当な判断と思います。
ただ、前回のエントリーでも書いたように著作物でないから常に勝手にコピーして良いかというとそういうことはなく、他人の正当な利益を損なうような形でコピーすると不法行為とされ、損害賠償の責を負う可能性はあります。先の訴訟についても知財高裁は、著作権侵害は認めなかったものの、デジタルアライアンス社に損害賠償を命じました。
他の例で言えば、たとえば、市場調査会社が苦労して調査したデータを勝手に配付したりすれば、(データは事実であり著作物ではないため)著作権侵害ではないですが、不法行為とされ損害賠償を命じられる可能性が高いでしょう。
ところで、自社サイトの見出しの取り扱いについて、各新聞社がどういう記載をしているかどうかを調べていたところ、産経新聞社の知的財産権ポリシーには、
産経新聞社、日本工業新聞社、産経デジタルは見出しについても、著作物としての創作性があり、本来、著作権があると考えます。
とあります。「考える」のは勝手ですが、知財高裁の確定判決があるのに、それを書かずに自社の意見のみを書くのは、マスメディアとしてどうなのよという気もしました。「知財高裁の判断では見出しは著作物ではないとされていますが、産経新聞社はそうは考えません。」あるいは「見出しは著作物ではないとされていますが、妥当な範囲を超えた見出しの利用については、損害賠償の責を負う場合があります」とでもすれば良いと思うのですが、現状の書き方はミスリーディングであると思います。
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