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12月の忙しさにかまけて、前々から気になっていた事件が和解になってたのに気がつきませんでした。作曲家の生方則孝氏(「生福」の「生」と言えば特定の世代の人には有名でしょう)と住友生命の間でサウンドロゴが著作物かどうかが争われていた件です。
サウンドロゴというのは、企業がCM等で使うために社名やキャッチフレーズに付ける短いメロディです。住友生命のサウンドロゴは多くの人の耳になじんでいるでしょう(そう考えると広告手段としてはかなり有効と思われます)。全くの余談ですが、この広告効果の高さから考えれば、サウンドロゴを商標として保護しても良さそうですが、今の所、日本では音を商標として保護する制度はありません(米国では音による商標(サウンドマーク)も保護されているようです)。
#なお、商標権は商標作成者の権利を保護するものではないので、今回の話とは全然関係ありません。念のため。
話を戻しますが、ことの流れは、生方氏のブログに詳細に書かれてますが、かいつまんで書くと、
■1986年に生方氏が住友生命のためにサウンドロゴ作成
■2004年に住友生命が生方氏バージョンと微妙に違うサウンドロゴを生方氏に連絡なく使用再開
■その後交渉が行われたが、らちがあかず、生方氏は著作権に基づき住友生命を告訴、住友生命側は「サウンドロゴは著作物ではない」というロジックのもとに対抗
■2006年12月15日 両者は円満和解
ということです。
争点となっていたサウンドロゴが著作物であるかという問題ですが、著作権法で保護される著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と定義されています。ゆえに、単なるアイデアや誰が作っても同じにならざるを得ないようなものは著作物とはなりません。サウンドロゴについて言えば、非常に短い音楽ではありますが、どう考えても誰が作っても同じという性質のものではなく、創作的な表現の余地はあります(そうでなければ、作曲のプロに頼む必要などなく、現場で適当に作ってしまえばよいのです)。なので、少なくともこの住友生命のサウンドロゴが著作物であるというのは自明のように思えます。個人的には、判決としてサウンドロゴは著作物であることを認定してほしかった気もしますが、まあ円満和解で結果オーライということでしょうがないでしょう。
ところで、生方氏が住生側を訴えたのは本意ではなく、手段として著作権を使ったのも方便に過ぎないのではと個人的には思います。何の連絡もなしに自分の「作品」を再利用された点にカチンと来たということだと想像します。そもそもの問題の根は、最初の契約がはっきりしてなかったということです。クリエイターの立場がどうしても弱い(正式に契約書作ってくれとは言いにくい)ということもありますし、なんとなく暗黙の了解(たとえ一括払いであっても再利用の時は再度契約してくれますよねーという前提)で契約書なしでやってしまう業界の体質という問題もあるかと思います。要するに金が動くところではしっかり契約書を交わしておきましょうということです。
こういう著作権関係の契約業務は通常弁護士さんにお願いすることになるかと思いますが、弁理士も著作権関係の契約の代理や相談の業務を行うことが法律上認められています。自分も将来的にはクリエイター側の契約サポート業務を安価で提供できればと思うのですが、片手間でできる仕事ではないと思うので、今のところはちょっと体力的に無理ですね。
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