栗原潔のテクノロジー時評Ver2:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 栗原潔のテクノロジー時評Ver2

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2006年12月21日 »

コピーをされても権利者にちゃんと金を回すための透明性・妥当性・公平性を備えた仕組み作りについて検討してみましょう。

利用者から直接・間接的に金をいったん集めて、権利者に(場合によっては国境を越えて)公平に分配することなどできるのでしょうか?そんなことできるわけないと思われる方もいるかもしれませんが、実は、これは既にJASRACがやってることです。話しを簡単にするために放送における音楽の著作権管理についてのみ触れます。

放送局は放送でどういう音楽を使ったかをJASRACに親告して、規定の利用料を払います。いちいち権利者の許諾を取ったりはしません。JASRACは利用料を権利者に分配します。権利者が外国人の場合はその国の著作権管理団体を経由して分配されます。透明性・妥当性・公平性が担保されているかについての議論はありますが、スキームとしては回っています。同様のことをP2P音楽配信で行うことも十分可能に思えます(JASRACがやるべきかどうかはさておき)。

デジタル配信の場合は利用状況をより正確に、かつ、ローコストで収集できますので、妥当性・公平性については原理上はかなり担保されると思います。透明性については、制度的に担保する方法もありますが、複数の管理団体が競争することによる市場原理に委ねるということも考えられます。

以前のエントリーで説明してきたP2Pの利用料の配分のやり方は、あたかもP2Pを放送のように扱うと言い換えることもできます。利用料の徴収方法として、広告料モデル、定額モデル、従量制モデルがあると書きましたが、それぞれ、民放、有料ケーブル、Pay Per Viewにたとえられます(利用してるか否かにかかわらず利用料をみなし徴収するNHKモデルは個人的にはあまり採用したくありません)。

垂れ流し型の放送とファイルをコピーさせるP2Pは違うという意見もあるかもしれませんが、放送であってもHDDレコーダーに録画・録音(私的複製)できる点では同じです。スゴ録のように機械が勝手に番組を選んで録画(一種のダウンロードです)することもあります。利用料の配分の検討は必要でしょうが、根本的な違いはないと思います。また、P2Pであれば規模が大きくなってもインフラコストはさほど大きくならない(利用者のそれぞれが、パソコン代、ISP料金等の形でインフラコストを分散負担しているとも言えます)ので、権利者に回せる金は多くなるかもしれません。

ちなみに、広告料モデルが充分な富を生み出せるのかという点ですが、日本のオンライン広告市場の市場規模が3000億円程度、CD販売の市場規模が5000億円程度なので、いますぐにCD販売をオンライン広告で全面的に置き換えるのはさすがに無理ですが、まったく桁違いでお話しにならないという状況ではないということがわかります。

こういう世界ではレコード会社はどうなるのかというお話しですが、制作(プロデュース能力)やVC的機能(資金提供力、目利き力)を強めていけば、当然いくらでも市場機会はあります。市場のリーチが広がることで今まで以上に市場機会は大きくなるかもしれません。

クリエイター、リスナー(と同時にクリエイターでもある人々)、(ちゃんとした付加価値を提供できる)仲介業者の3者がWin-Win-Winとなれるスキーム作りは十分可能であると思います。

栗原 潔

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栗原 潔

栗原 潔

株式会社テックバイザージェイピー(TVJP) 代表取締役 弁理士
IT、知財、翻訳サービスを中心とした新しいタイプのリサーチ会社を目指しています。

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