栗原潔のテクノロジー時評Ver2:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 栗原潔のテクノロジー時評Ver2

知財、ユビキタス、企業コンピューティング関連ニュースに言いたい放題

« 2006年9月21日

2006年9月22日の投稿

2006年9月24日 »

何の気なしにミクシィの上場目論見書を見ていたら【事業等のリスク】の項にちょっと気になる表現が。(目論見書のPDFにプロテクトがかかっていて、コピペできないので、以下は要約。詳細は原文PDFの19ページを参照してください)

国内の特定企業から特許侵害の警告が出ているが、システムの構成が異なることから、侵害の事実はないと認識している。

最近、米国のSNS業者がSNSに関する特許を取得。PCT(国際出願)もされているので、今後日本でも成立する可能性がある。当社サービスが当該特許に抵触する可能性は低いと考えているが、不透明な要素はある。

一番目の項目ですが、具体的にどの企業がどの特許に基づいた警告を行ったのかはわかりません(特許電子図書館で、「ソシアル・ネットワーク」、「ソシアル・ネットワーキング」等をキーワードで検索しても見つかりません。)

二番目は米Friendster社の特許のことを言っているのでしょう(参照記事)。米国特許公報を見てみるとシステム特許なので回避できそうな気もしますが、お友達の関係図を表示・処理するというSNSの本質的なところを押さえているような気もします(中味を相当読み込まないと何とも言えません)。まだ米国でしか成立していないので、MixiよりもMySpace.com等の米国のSNSへの影響が大きいでしょうね。実際、Friendster社(決して業績は芳しくない)は、おそらくはこの特許に基づいて投資家から追加の投資を得ることに成功しました(参照記事)。まさに値千金の特許と言えるでしょう。

ところで、目論見書には国際出願されていると書いてあったので、ちょっと調べてみました(国際出願(別名PCT)とは複数の国にいっぺんにまとめて特許出願できる制度。)確かに、日本を指定国に含む国際出願はされてるんですが、特許電子図書館に当該の出願情報が見あたらないので、特許庁に聞いてみたところ、当該国際出願が日本の国内手続きに移行された形跡はないようです。Friendster社が手続きをほっぽらかしていたので、日本での出願が取り下げとみなされた可能性が高いです(裏技的な方法で日本に出願されてる可能性もありますので、100パーセント確実ではないですが)。もし、取り下げになったのだとするとFriendster社にとってはちょっともったいなかったかもしれません。

ところで、SNSの特許としては、米Six Degrees of Separationという会社によるものが有名です(Friendster社の特許もこの特許を先行技術として引用しています)。この社名は、友達の友達をたどっていくと6段階で世界中のすべての人にリーチできるという説(いわゆる、「スモール・ワールド」と言われる理論)に基づいていると思われますが、この理論はどうやら都市伝説の可能性が高いようです(参照記事(英文))。

栗原 潔

« 2006年9月21日

2006年9月22日の投稿

2006年9月24日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP


プロフィール

栗原 潔

栗原 潔

株式会社テックバイザージェイピー(TVJP) 代表取締役 弁理士
IT、知財、翻訳サービスを中心とした新しいタイプのリサーチ会社を目指しています。

詳しいプロフィール

カレンダー
2012年11月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  
kurikiyo
カテゴリー

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


Special

- PR -
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ