« 2011年1月11日

2011年1月12日の投稿

2011年1月13日 »

Sandy Bridgeが1/9に発売されました。Sandy BridgeはIntelの開発サイクルのTOCKの番で、大きなジャンプがいくつかあります。GPU搭載等もありますが、uOPキャッシュの効果が性能の寄与していると思われます。

Sandy Bridgeの性能向上を見ていてIntelのCPUはどのように進化してきたか知りたくなりました。そこで、Intelの過去のCPUを調べてみました。ここでは、Sandy Brdigeに至るBanias~Core~Nehalemの系譜を対象にしました。Neburstは対象外にしています(Intelの黒歴史の一つでしょうね)。

Baniasは相当古いため共通的に行われている良いベンチがありませんでした。このため、SandraのDhrystoneとWhetstoneの結果のみ比較しています(Sandraのバージョンが少し違うため、完全に一致していないかも知れませんが...SPEC CPU2006がもっと良いのですが今度はSandy Bridgeがまだ公開されていません)。基本的には以下を参考にさせていただきました。

第2世代Pentium M "Dothan"
Intelの2013年のCPU「Haswell」へと続くNehalem開発の舞台裏
多和田新也のニューアイテム診断室

Dothan以外は最も速いか、もしくは2番目に高速なCPUのDhrystoneとWhetstoneを調べることが出来ました。Dothanは、便宜上2.26/1.70をかけたデータを掲載します。

Core MA以降のCPUに盛り込まれた機能について以下に列挙します。

○Core MA
・マクロフュージョン(Macro-Fusion)
・64bitサポート

○Nehalem MA
・メモリコントローラーの搭載
・Turbo Boost搭載
・バス周りの変更
・Hyper-Threadingサポート
・L3搭載
・ループストリームディテクタ

○Sandy Bridge MA
・GPU搭載
・AVX
・uOPキャッシュ
・リングバス

ベースのBaniasコア(さらにベースはPentium III)からマクロフュージョン、ループストリムディクタ、uOPキャッシュとシングルスレッドの向上されています。HTの搭載やリングバスの搭載でマルチスレッドの向上も果たしています。

性能に関しては比較しづらいですが、4コアの製品だけ見てみましょう。

KentsfieldからLynnfieldへのジャンプは、プロセスルールの変更とアーキテクチャの変更が行われています。性能は非常にジャンプしています。Lynnfieldは、バス周りに余計なものが多いため、消費電力は多すぎます。

Sandy Bridgeのダイを見ていると、GPUを非搭載にするとどうなっていたのか興味がわきます。"年の初めは“Sandy Bridge”をグリグリと走らせた"を元に細工してみます。

■オリジナル

■GPUなし

■GPUなし&6コア

4コア&GPUで、216平方mmだとすると、4コア&GPUなしは177平方mm、6コア&GPUなしは243平方mm程度になります(GPU無しだといらなくなる機能もあると思われるため、GPU無しバージョンはおおざっぱな数字だと思ってください)。

6コア&GPUなしが、同じプロセスルールのGulftownと似たようなサイズになるのはちょっと新鮮ですが、GulftownがL3 12MB、メモリ3chとSandy BridgeがL3 8MB、メモリ2chであるため、バス周りがリッチなGulftownとそのまま比較はできません。

Sandy Bridge系のベンチ評価は、Core i7-2600K(3.4GHz)とCore i7-875K(2.93GHz)を比較するケースが多くあります。両者には、アーキテクチャの変更もありますが、シュリンク、ダイサイズの縮小化とLynnfieldの不要な箇所(バス周り)の排除などがあり周波数(16%増)が向上しています。

このため、周波数向上差を取り除くとアーキテクチャの変更による性能アップ(10%前後)は突出して高いように思えません(比較しているのが相当古いベンチであるDhrystoneのためかも知れません)。ただし、周波数を向上させることができること自体がシュリンクしていく中ではなかなか難しいことではありますが。

Sandy Bridgeのサーバ版は、GPU非搭載で、8/6コアやL3、リングバス、メモリチャネル等が増えると言われています。Nehalemではサーバ版(DP)をハイエンドデスクトップ版として流用してきました。これはバリエーションを減らすことで開発費を減らすためでしょう。Nehalemはサーバ向けからスタートしたことになります。

Sandy Bridgeは逆に、デスクトップ・モバイル版からスタートしてサーバ版が出てきます。オレゴンチーム(Nehalem)とイスラエルチーム(Sandy bridge)の方針違いにも見えます。

そのように思うとTick-Tock戦略の順番と開発グループを考慮に入れて、IntelのCPU開発サイクルを見ていたほうがいいのかも知れません。

キーワード検索

AMD  CPU  Intel  GPU  NVIDIA  ARM  TI  Qualcomm  Marvell  x86  x86  IBM  POWER  Oracle  SPARC  富士通  TSMC  GLOBALFOUNDRIES 

櫻吉 清(さくらきち きよし)

« 2011年1月11日

2011年1月12日の投稿

2011年1月13日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

櫻吉 清

櫻吉 清

IT業界ウオッチを趣味としている。知的好奇心の趣くままに何でもチャレンジして、とりあえず壁にぶつかってみる。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
カレンダー
2013年4月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
kichi
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ