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IDF 2010 San Franciscoの感想

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IDF 2010 San Franciscoが行われたので、その感想を書いてみます。

IDF 2010の目玉はなんと言っても2011年初頭に発売されるSandy Bridgeの概要を発表されたことでしょう。「Intelが次世代CPU「Sandy Bridge」の詳細を発表」や「なぜSandy Bridgeはそんなにパフォーマンスが高いのか」が詳しいです。Sandy Bridgeの特徴は、GPUを搭載し、SIMDの拡張がメインに見えますが、シングルスレッド&消費電力あたりの性能向上も果たすようです。

これだけ見ているとMerom系からNehalme系へのジャンプアップよりも、Nehalme系からSandy Bridge系にジャンプアップした方がより多く機能が追加されているように見えます(もっと言えば、ヒルズボロのチームよりもハイファのチームの方が優秀に見える...)。

また、Sandy Bridgeはモジュール式でCPUを設計して多品種を作りやすくなっています。ただし、AMDも同様の方法をとっているため、PC向けCPUには必須の選択のようです。L2やHTの有無や一部機能をdisableにする方式よりも、シリコンを変えたほうが経済的でしょう(設計や試験などを考慮に入れるとどこまで経済的かわかりませんが)。Sandy Bridgeのダイ写真を見るかぎりGPUの脇はデッドスペースで、ちょうどCPU2コア分の幅です。4コアSandy Bridgeがダイサイズが23x平方mm程度らしいですが、2コアでGUPを半分にすると150平方mmをきるのではないかと思います。

Nehalem系の45nm世代はあまりの大きさにモバイル系(デスクノート系を除く)には持っていけず32nm世代まで待つ必要がありましたが、Sandy Bridgeはそのようなことがなさそうです。

ただ、Sandy Bridgeで気になるのは、GPUの部分です。2011年にはAMDも2つのCPU(LlanoとOntario)がGPUを搭載します。AMDはどちらのCPUもDirectX 11に対応します。2009年からDirectX 11が登場しているためOSとハードは既に対応した製品が出ていますが、2011年の時点でDirectX 10で登場するのはどうでしょうか?現時点ではDirectX 11に対応したソフトがそれほど多いわけではありません。ですが、登場時期(2011年)及びその後2年ばかり使用されることを考えれば、少しトレンドに沿っていないように思えます。

また、GPU部分をGPUにしか使用しない選択は、Larrabeeの取り扱いに失敗した形跡に見えます。AMDも今のところ単にGPUを搭載しただけで終わっていますが、GPU部分は決して小さくないことを考えると、GPUをGPGPUとして使用できるようにしたほうが良いのではないかと思います。OpenCLやDirectX 11が普及すれば使用するケースが増えるかも知れませんが、今のところ単にGPUをくっつけただけに見えます。

Sandy Bridge以外は、メディアタブレット向けのOak Trailが興味が引きました。2011年にはx86のメディアタブレットが大量に出てきそうです。OSも選ばないようですし、参加メーカも多い様なのでARM系メディアタブレットと競争が激しくなりそうです(メディアタブレットカテゴリには良いことです)。携帯ゲーム端末サイズの製品が展示されていたようですが、Intelが今まで作成してきたAtomの見本はほとんど出てきていないので、本当にこのサイズで出てくるか心配です(たぶんコストの問題で生産できないのでしょう)。

今回のIDFは、Sandy Bridge一色でした。ハイファのチームがTOCKの出番のためか、非常に期待されました。Sandy Bridgeはシングルスレッドも向上するようなので、Nehalem
系よりもパフォーマンスが大幅に上がりそうですし、GPUを搭載することでローエンドGPUは駆逐されそうです(性能しだいではミドルローレンジも対象になるかも)。まだまだCPUは発展するものなのですね。

【Intel/CPU】
AMDのBulldozerとBobcatの感想(Hot Chips 22)
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CPUの進化に関して
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