IntelのCPUの開発履歴を調べてみた
Sandy Bridgeが1/9に発売されました。Sandy BridgeはIntelの開発サイクルのTOCKの番で、大きなジャンプがいくつかあります。GPU搭載等もありますが、uOPキャッシュの効果が性能の寄与していると思われます。
Sandy Bridgeの性能向上を見ていてIntelのCPUはどのように進化してきたか知りたくなりました。そこで、Intelの過去のCPUを調べてみました。ここでは、Sandy Brdigeに至るBanias~Core~Nehalemの系譜を対象にしました。Neburstは対象外にしています(Intelの黒歴史の一つでしょうね)。
Baniasは相当古いため共通的に行われている良いベンチがありませんでした。このため、SandraのDhrystoneとWhetstoneの結果のみ比較しています(Sandraのバージョンが少し違うため、完全に一致していないかも知れませんが...SPEC CPU2006がもっと良いのですが今度はSandy Bridgeがまだ公開されていません)。基本的には以下を参考にさせていただきました。
・第2世代Pentium M "Dothan"
・Intelの2013年のCPU「Haswell」へと続くNehalem開発の舞台裏
・多和田新也のニューアイテム診断室
Dothan以外は最も速いか、もしくは2番目に高速なCPUのDhrystoneとWhetstoneを調べることが出来ました。Dothanは、便宜上2.26/1.70をかけたデータを掲載します。
Core MA以降のCPUに盛り込まれた機能について以下に列挙します。
○Core MA
・マクロフュージョン(Macro-Fusion)
・64bitサポート
○Nehalem MA
・メモリコントローラーの搭載
・Turbo Boost搭載
・バス周りの変更
・Hyper-Threadingサポート
・L3搭載
・ループストリームディテクタ
○Sandy Bridge MA
・GPU搭載
・AVX
・uOPキャッシュ
・リングバス
ベースのBaniasコア(さらにベースはPentium III)からマクロフュージョン、ループストリムディクタ、uOPキャッシュとシングルスレッドの向上されています。HTの搭載やリングバスの搭載でマルチスレッドの向上も果たしています。
性能に関しては比較しづらいですが、4コアの製品だけ見てみましょう。
KentsfieldからLynnfieldへのジャンプは、プロセスルールの変更とアーキテクチャの変更が行われています。性能は非常にジャンプしています。Lynnfieldは、バス周りに余計なものが多いため、消費電力は多すぎます。
Sandy Bridgeのダイを見ていると、GPUを非搭載にするとどうなっていたのか興味がわきます。"年の初めは“Sandy Bridge”をグリグリと走らせた"を元に細工してみます。
■オリジナル
■GPUなし
■GPUなし&6コア
4コア&GPUで、216平方mmだとすると、4コア&GPUなしは177平方mm、6コア&GPUなしは243平方mm程度になります(GPU無しだといらなくなる機能もあると思われるため、GPU無しバージョンはおおざっぱな数字だと思ってください)。
6コア&GPUなしが、同じプロセスルールのGulftownと似たようなサイズになるのはちょっと新鮮ですが、GulftownがL3 12MB、メモリ3chとSandy BridgeがL3 8MB、メモリ2chであるため、バス周りがリッチなGulftownとそのまま比較はできません。
Sandy Bridge系のベンチ評価は、Core i7-2600K(3.4GHz)とCore i7-875K(2.93GHz)を比較するケースが多くあります。両者には、アーキテクチャの変更もありますが、シュリンク、ダイサイズの縮小化とLynnfieldの不要な箇所(バス周り)の排除などがあり周波数(16%増)が向上しています。
このため、周波数向上差を取り除くとアーキテクチャの変更による性能アップ(10%前後)は突出して高いように思えません(比較しているのが相当古いベンチであるDhrystoneのためかも知れません)。ただし、周波数を向上させることができること自体がシュリンクしていく中ではなかなか難しいことではありますが。
Sandy Bridgeのサーバ版は、GPU非搭載で、8/6コアやL3、リングバス、メモリチャネル等が増えると言われています。Nehalemではサーバ版(DP)をハイエンドデスクトップ版として流用してきました。これはバリエーションを減らすことで開発費を減らすためでしょう。Nehalemはサーバ向けからスタートしたことになります。
Sandy Bridgeは逆に、デスクトップ・モバイル版からスタートしてサーバ版が出てきます。オレゴンチーム(Nehalem)とイスラエルチーム(Sandy bridge)の方針違いにも見えます。
そのように思うとTick-Tock戦略の順番と開発グループを考慮に入れて、IntelのCPU開発サイクルを見ていたほうがいいのかも知れません。
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