« 2011年12月9日

2011年12月10日の投稿

2011年12月12日 »

先日のエントリーにて、「iPad」という商標を中国本土で使ってはいけない、という判決が中国国内の裁判所から示されたとお伝えしましたが、その後、予想通り、iPad商標の中国内での権利を有する唯冠科技から損害賠償の訴えが提示されました。その額、1200億円(100億元)とのこと。


『9日付の中国紙、南方都市報によると、広東省深セン市のIT関連企業、唯冠科技が米アップルを相手取り、中国国内で唯冠科技がもつ「iPad」の商標権を侵害されたとして100億元(約1200億円)の損害賠償を求める裁判を同市人民法院(地裁)に起こした。同時にアップルのタブレット端末「iPad」の中国での販売差し止めを求める仮処分も申し立てた。

唯冠科技の台湾親会社が2000年に全世界で「iPad」を商標登録し、01年に唯冠科技が中国で登録していたため、アップルは09年、唯冠台北から「iPad」の商標を買い取る一方、中国国内での商標権の確認を求めて唯冠科技を訴えていた。だが同法院は今月5日、中国の商標権は唯冠科技に属するとしてアップルの訴えを棄却した。』
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111209-00000007-fsi-bus_all


商標権があまりにも高額になる場合、アップルは「iPad」という表現を諦めて、名称の変更(漢字の当て字を用いる等)の可能性もあると取り沙汰されてきましたが、それが俄然実現性を帯びてきた様相です。

中国では、アップル社は「蘋果公司」という音の当て字で表現することもできますし、スティーブ・ジョブズも「史蒂夫·乔布斯」と表現できるのですから、iPadも漢字表記で統一してしまえ、という決断が下されることがあってもおかしくはありません。

実際、日本ではiPhoneを日本語表記するには、アイフォンではなくて「アイフォーン」としなければならなかったのは、その商標を日本の別の企業が登録していたからです。

『アイホン、iPhoneの商標問題でAppleと「友好的合意」』
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0803/24/news102.html

今分かっている情報から察する限りでは、このまま正面から戦っても、アップルが敗訴することは間違いないのではないかと思えます。なにせ、訴えを起こしている企業はリーマンショック後の経営不振ですでに銀行による資産接収がなされ、北京のコンサルティング会社「和君創業」が管財人となっているとのことですから、これは明らかに金目当ての訴訟であることは疑いようがなく、もしアップルが商標の譲渡を狙うなら、先の損害賠償金に加えてさらに多額を要求されることでしょう。

「取れるところから可能な限りふんだくる」

そういうマインドを持ったところと円満な交渉は期待できません。ならば、いっその事、iPadを使用しなくてもアップルは全然困らないという状況を自ら引き起こすことで、肩透かしを食らわせてやればいいではないか、と思う次第です。

NAKA

« 2011年12月9日

2011年12月10日の投稿

2011年12月12日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

中 寛之

中 寛之

アクセンチュアに勤務。
ITIL Managerとして、システムインフラのコンサルティングを中心に、業務領域まで幅広く担当しています。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
カレンダー
2013年4月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
infra
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ