« 2008年5月13日

2008年6月3日の投稿

2008年6月13日 »

一般的にも、システムインテグレーション(SI)には大別して上流工程(要件定義・概要設計)と下流工程(詳細設計・プログラミング・ テスト)があり、どちらが欠けてもシステム開発は成功しません。

アクセンチュアでは、<計画・分析・設計・構築・テスト・展開>のフェーズに分けてSIプロジェクトを推進しており、 各フェーズで担当者が異なってもスムーズにバトンタッチできるようなアプローチを採用しています。

いずれにしても、SIプロジェクトの規模が拡大するにつれて、上流から下流まで一気通貫で直接作業を行う機会はなくなり、 むしろ分業によって効率化を図ろうという流れに必然的にたどり着くのですけど、これが無理解なセクショナリズムによって対立に結びつき、 そもそもの目的である顧客満足の達成を阻害するというケースがあります。

 

例えば、こんな状況を想像してみてください。

『クライアントの業務部門と直接折衝して要件定義を固めていく上流工程に関わる人たちは、 気が付くとクライアントと同じ側に立つ人間として振舞うようになり、下流工程のチームに要求を押し付けるかのごとく接するようになった。

一方で、 下流工程では確実に動くシステムに落とし込んでリリースする必要があるため、 スケジュール遅延に結びつく業務側の要求は基本的に突き返している。』

このような状況の果てに、同じプロジェクト・会社の仲間であるにも関わらず、 お互いがお互いを非難し責任を擦り付け合うという場面に遭遇したことのある方、結構いるのではないかと推察します。

私見ですが、上流工程担当者の下流工程への無理解によってこのような対立が生まれることが多いと感じます。
 ※ 私の経験の範囲ですから、全てがそうとは言いません。

 

では、上流工程担当者が下流工程を理解するためにすべきことは何か?

解決策として挙げるのは、下流工程の経験者が上流工程を担当することです。

これは私自身が経験してきたことでもありますが、設計書に従ってプログラミングを行う、テスト設計・実施を行う、システムリリース (本番稼動)を経験する。これらを一度でも経験するだけで、下流工程での作業を視野に入れた現実感のあるシステム設計に近づきます。

だからこそ、コンサルタントやシステムアナリストは早い段階でプログラミングを経験してほしい、そのように切に感じています。

多くのプロジェクトでは、すでに下流工程側の担当者は同じような歩み寄り(上流工程への理解)を十分に示してきたと思います。

次は上流工程を扱う担当者の番です。アーキテクチャの概要理解だけではなく、 是非ともソースコードをレビューできるくらいの知識を目指して、日々の研鑽を積んでいきましょう。


ちなみにこの話は、開発担当と運用担当にそっくり当てはまる内容です。「運用はシステム開発のおまけ」くらいにしか思っていない方、 是非とも運用業務を一度経験してみて下さい。

価値観がきっと変わりますよ。

 

NAKA

« 2008年5月13日

2008年6月3日の投稿

2008年6月13日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

中 寛之

中 寛之

アクセンチュアに勤務。
ITIL Managerとして、システムインフラのコンサルティングを中心に、業務領域まで幅広く担当しています。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
カレンダー
2013年4月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
infra
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ