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2005年8月6日の投稿

2005年8月13日 »

先月ドイツで開催されたApacheConにて、Open Source Initiative(OSI)のDanese Cooper氏が開発国にOSSを広げようという趣旨の基調講演を行った。このブログで以前、欧州の開発者は日本の開発者と情報交換をしたいと思っていることを書いたことがあるが、Cooper氏の基調講演でも、どうやって自分たちのコミュニティの輪を世界に広げるかがメインテーマとなった。

21072005_009_sある日本人開発者から、日本には日本独自のコミュニティがあるし、言語の壁はやはり大きいというような話を聞いたことがある。Cooperさんもこの日、言語の問題に触れて、「英語を押し付けるのではなく、翻訳チームを設けてはどうか」などの提案を行った(Debianには翻訳チームがあるのだとか)。基調講演中、会場からは、「自分はドイツ語、英語、ポルトガル語を話すが、何ができるだろう?」とか「東南アジアでApacheConをやるのなら、現地の人と同じように地面に座ってやってみるのはどうか?」、「どのような姿勢で接するのがよいだろう? 知識をひけらかしてはいけないと思うが」など、質問や提案が次々に出ていた。Cooperさんによると、基調講演の後、彼女のところにやってきて「英語はマストだ!」と主張して引かなかった人(ちなみに、彼自身、英語は母国語ではない人だったとか)もいたらしい。

このような話を聞いた後、アルファベット言語を母国語にもたないアジア出身の私は、ちょっと複雑な気分になった。その後にCooperさんと個人的に何度か話をしてみて、彼女自身、若いころにアフリカなどの地域でボランティアとして食糧支援を行った経験があり、開発国の事情を知っていて、真に彼らのことを考えていることが分かった。それには素直に感動した。それでも、この基調講演中に、文化の差というか、視点の差というか、マインドの差というか、そんなものを会場全体から感じたことは、否定できない。

ちなみに、Cooperさんは、全世界が欧米流のコミュニケーションを受け入れることを期待しているのではなく、地域には独自の活動があり、それを橋渡しするなにかがあればよいと思っている。そのうちに、そういう人物(役職)が出てくるのではないかとも述べていた。

それにしても、ドイツで開催されたこのApacheConにせよ、欧州の多くのIT系カンファレンスで英語が主流になってきた。ご存知の通り、欧州で英語が母国語なのは英国のみである。私の本拠地、フランス(英語を話さないことで名高い)ですら、大規模なIT系カンファレンスがすべてフランス語で行われるケースは珍しくなっている。先日のプリンターにせよ、PCにせよ、モノはアジア製、コミュニケーションは英語ということかなあ?

ApacheConの参加者ですが、言葉としての言語よりもプログラム言語の方が、バイリンガル、マルチリンガル度が高かったようです。

sueoka

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末岡 洋子

末岡 洋子

欧州在住、フリーランスのライター兼ジャーナリスト。

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