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村上龍氏の決断に出版社は戦々恐々だそうだが、なぜすぐ印税の税率にばかり話がいくのか…

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なぜすぐ印税の税率にばかり話がいくのか…

だが、新しい作品を電子書籍のみで、まず販売するという村上氏の計画は、基本的に出版サイクルから既存の出版社を完全に外すことになる。村上氏がこれまで発表した作品は、角川書店などの大手出版社から発売されている。『歌うクジラ』を連載していた講談社は、ハードカバーの出版を村上氏側と協議中としているが、詳細は未定のようだ。

出版社による仲介が不要になれば、理論上、作家はこれまでよりもずっと多くの印税を手にすることになる。日本経済新聞によると、村上氏は、当初の販売目標を、電子書籍の開発コストが回収できる5000ダウンロードとしており、アップルが販売を承認すれば、収入の30%を手数料としてアップルに支払い、残りを村上氏、坂本氏、ソフトウエア会社で分配することになる。

確かに、モノを生み出す側と、それを売り出す側がこれまで交わしてきた契約だと、作り手の待遇改善においては出版社、レコード会社が作成したどれだけ配分を作家側に振り向けるか…という構図になっているものがほとんど、

ただ、こうやって活動している人たちって反体制的というか、やはり個人の力を信じて活動している訳なので、企業の論理を押しつけられるのは大嫌いな筈で、

出版社を介さない電子出版流通においては、確かにこれまでよりもずっと多くの印税を手にする事が出来るのは確かに事実ですが、その前に作家・アーティスト・クリエーターにとっては、先日リンゴ・スターがインタビューで語っていた

インターネットのような技術のおかげで、ミュージシャンが「レコード会社に頭が上がらない」状況は避けられるようになったと指摘する。

↑この言葉の作家版として、

電子出版のような技術のおかげで、作家が「出版社に頭が上がらない」状況は避けられるようになった

↑こっちがやはり先な気がするのです。

単純な話として、これまでの積み上げとして、お付き合いしたい(自分を認めてくれる)編集者なりディレクターがいて、自身がイメージするところに近い創作活動が出来ているか…という話がやはり本質問題として前提にあると自分は思いたい…(苦笑)

冒頭紹介した記事に5000部が費用回収の目処という記載がありましたけど、これはわたしが主に音楽方面で活動していた時期の新人アーティストの初期プレス枚数に近いものがあり、とっても馴染むところがあります。

もしかして出版業界でもこの@1500円x5000という数字が(Appleの取り分も含め)電子出版における損益分岐点としてひとつの指標となるのなら、出版社の側にとってもやるべき仕事がかなり明確になってくるでしょうし、出版社を通さずにセルフプロデュースで行こうという作家さんにとっても、クリアすべき数字と、自分の読者獲得の具体的な数字としてこの5000というのは覚えておいて損はないのかもしれません。

追記:初回はこうやって各種メディアでも取り上げられ、記事を書くために購入しているケースも多々あるでしょうから初回の5000DL突破は村上氏のビックネームを持ってすれば何ら難しい事ではないでしょう。ただ2冊目からが大事で、そういう意味では初回から音楽に教授を起用したのはもったいなかったかもしれません…

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Comment(2)

コメント

確かにおっしゃる通りですが、そもそも今回、歌うクジラに関しては群像という講談社の媒体に連載しており、そのコンテンツ制作に関して講談社がマンパワーとコストを掛けていたという点をどうとらえるか、だと思います。村上龍さんが勝手に小説を書いて、内容の相談を講談社誰にもせず、資料代も自己負担で、校正校閲費用も自己負担であれば、今回のスキームは全く問題ないですが、そうではない。それが問題だと思います。

ささき

網野波さん、コメントありがとうございます。

今回の村上さんの事例については、網野波さんがご指摘の

>村上龍さんが勝手に小説を書いて、内容の相談を講談社誰にもせず、資料代も
>自己負担で、校正校閲費用も自己負担であれば、今回のスキームは全く問題
>ないですが、そうではない。それが問題だと思います。

↑たしかにここは問題というか課題になってくるとわたしも感じておりまして、例えば日本書籍出版協会が配布している「出版契約書雛型」などを見ると、第 20 条(電子的使用)には「前項の規定にかかわらず、甲が本著作物の全部または相当の部分を公衆へ送信しようとする場合は、あらかじめ乙に通知し、甲乙協議のうえ取扱いを決定する。」という記載があり、今回のようなケースはやはりビックネームだからこそ実現出来た話なんだろうな…と思ったりしている今日この頃です。

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