オルタナティブ・ブログ > ビジネスライターという仕事 >

ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

今さら聞けないデジタルとITの違いを先端的なコンサルタントはどう使い分けているか考えてみました

»

ITに強いビジネスライターの森川ミユキです。

デジタルとITの違い、あなたの中では明確でしょうか。

そもそも全然違う言葉ですよね。

デジタル(digital)はdigit(数字、桁)の形容詞で、「数字の」という意味です。デジタル時計のデジタルです。反対語はアナログで、これは類似という意味なのですが、デジタルと対比されるときは「連続量」という概念になります。それで行くと、デジタルは飛び飛びの量という意味になります(あんまりすっきりしませんね)。

コンピューターのデータはご存知のように0と1の2進数で記録されます。つまりコンピューターの扱える量は必ずデジタルになるわけで、転じて「コンピューターで扱えるデータ」ぐらいの意味になったわけです。

※じゃあCDやDVDを再生する機械もコンピューターかと言われるとそうではないのですけど、ただCDやDVDを再生するソフトウェアはありますので、コンピューターで扱えるデータでいいかなと思うんですが、いかがでしょう。

ITは、日本語にしたら情報技術という意味です。よく「IT技術」というと「情報技術技術」になると嗤う人がいますが、たとえばうちの近所の川を英語では「Edo-gawa River」と言ったりするので、そんなんどうでもええやんかと思います。細かい指摘をすることで自分の賢さを見せつけたい人は、長い目で見ると友達を失っていくことになります。やめたほうがいいと思います。

それはさておき、要するにデジタルは量の概念、ITは技術の話ですから、そもそもごっちゃになるようなことではありません

ちなみにデジタル化とIT化だと割と違いが明確です。

デジタル化というのは、紙その他で扱われているデータをコンピューターが利用できる形式に変えることです。電子化とほぼ同義です。デジタル化にはデジタイゼーションとデジタライゼーションの2種類(人によってはデジタルトランスフォーメーション(DX)も含めて3種類)がありますが、まあ大きく言えばこんな感じです(そもそもデジタライゼーションとDXの違い、ちゃんと言える人がどれぐらいいるでしょうか。けっこう難しいですよ)。力点はデータになります。

IT化は、システム化とほぼ同義です。今まで手作業で行っていたことをコンピューターで行えるようにすることですね。こっちの力点は業務です。

ところが、これがデジタルとITとなるととたんに、何だか似てるけど微妙に違うニュアンスで使われている気がしてしまいます。

なぜでしょうか。それはデジタルにはデータだけでなく、それを扱うツール、すなわちシステムも含まれちゃうからです。そうなるとITと区別がつきません。ITだってシステムだけでなく、データあってこそのITですから。

じゃあ、デジタルとIT、何が違うんでしょうか?

ニュアンスなので、あまり明確な定義はないようです。同じ人が同じ意味でデジタルとITを漠然と使っている場面もよく目にします。

ただ私が取材した先端的なコンサルタントさんたちは、どうも次のように使い分けているみたいです。

デジタル:ビジネスに価値を生むデータとシステム

IT:ビジネスに価値を生むかどうかに関係なくITシステムとデータ全般

いわゆる「攻めのIT」とデジタルが同じようなものと認識されているようなのですね。

だからコンサルタントが、デジタルと言っているときは攻めモード、ITと言っているときは守りモードぐらいに思っておけば、だいたい間違いないです。私はそれでしのいできました。


最新のIT動向やITのビジネスへの応用について、経営者などビジネスパーソンに分かりやすく伝えることができるライターです。経営レベルでのIT活用について書ける数少ないライターとお客様から評価されています。

最近注力しているテーマは、下記の通りです。

また得意な分野は、クラウド、データ活用基盤などITインフラ関連です。

▼お仕事のお問い合わせはこちらへ

top001.jpg

▼トランスジェンダーとしてエッセイを書いています。

オートフィクション.jpgのサムネイル画像


Comment(0)