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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

DXでもIT化でもその他何でも日本の組織に足りない力は何か?

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ITに強いビジネスライター 森川ミユキです。

今どきDXなどと言っている会社はダメだ、みたいな投稿をしました。

「亡国のDX」~今どきDXなどと言っている会社はデータから価値は生み出せないという話

「せやのになんやねん?」と言われると思いますが、DXがうまくいっていない日本企業が多いと聞き、心を痛めております。

DXなどと言わなくても、そして日本企業などと言わなくても、日本の組織はIT化がずっと苦手です。そしてDXもIT化もうまくいかない原因は同じです。今回はそういうことを書いてみたいと思います。

データ活用に関するテーマで、その道では日本でも有数な実績を持つコンサルタントA氏を最近取材させていただきました。

A氏は言います。

データ活用を推進ためには、「課題を見つける力」、「課題を解く力」、「施策を推進する力」の3つの力が必要です。

課題を見つける力とは、データ分析によって解くべき課題を見つけることです。ただし、課題は何でもいいわけではなく、まず解ける課題であること、その上で解いてビジネスに価値をもたらす課題であることが必要です。課題を挙げるだけでは意味がなく、解くことに意味があるかどうかを短時間で見極めないといけないということです。

課題を解く力とは、見つけた課題の解決策を見出す力です。データ分析においては、統計解析から機械学習まで幅広い方法があります。その中から最適な手法(アルゴリズム)を見つけだす力はもちろん、分析結果を施策化し、最終的な意思決定者に理解できるレポートにまとめるといったコミュニケーション能力も必要です。また分析にはアドホック(非定型、その場限り)なものもありますが、ルーチン化できるものもあります。ルーチン化できるものはシステム化するケースが多く、システム化する力も課題を解く力に含まれます。

施策を推進する力とは、分析結果から得られた施策や開発されたシステムをユーザーに使ってもらう力です。ルールやマニュアルの作成、ユーザー教育、システム運用・保守はもちろん、経営者のトップダウン推進や現場からのボトムアップなフィードバックの吸い上げなど組織運営に関する力も含まれます。

A氏は続けます。

このうち「課題を解く力」を重視する企業が多く、ベンダーもそればかり強調します。しかし実際にデータ活用推進に必要な力は、「課題を見つける力」と「施策を推進する力」なんです。そして、その2つの力が足りていない企業が多いのが、日本のデータ活用がなかなか進まない理由なんです。

課題を解く力がなければ外注すればいい、とA氏は言います。DXに関しては内製化が喧伝されていますが、本当に「内製化」すべきなのは、「課題を見つける」ことと「施策を推進」することだというわけです。

A氏はデータ活用のコンサルタントなので、データ活用の話として以上のことを教えてくださいましたが、私は聞いていて、IT化もまったく同じだと思いました。

それだけでなく、日本企業の生産性が低いと言われる原因も、経営がいまだにKKDに基づいていてデータドリブンになっていかない原因も、企業だけでなく政府の施策がうまく機能しない原因も、みな煎じ詰めれば同じではないかと思ったのです(ただし、それぞれの力の内容については読み替えてくださいね)。

最後は若干乱暴なまとめかもしれませんが、大きくは間違っていない気がします。たとえばマイナンバーカードが普及しない原因なども、この3つの力で説明できるのではないでしょうか。


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