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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

「亡国のDX」~今どきDXなどと言っている会社はデータから価値は生み出せないという話

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ITに強いビジネスライターの森川ミユキです。

Web 3がいろんなところでヤリ玉に上がっていて、NFTの超入門書などを上梓した者としては肩身が狭い今日この頃です(>_<。)


しかし私が思うに、今もっと槍玉にあがるべきバズワードは「DX」ではないでしょうか。

と言うのは、先日とあるデータ分析会社さまの役員クラスの方々に取材させていただいたのですが、この方たちが口を揃えて「今どきDXとか言っている会社はやばいよね」とおっしゃるのです。

私は内心「データ分析会社の役員がDXを否定するなんて、頭がおかしくなったのか( ̄□ ̄;!!」と思いながら聞いていたのですが、続けてお話を伺ううちに、すぐに納得したのでした。

私が意訳すると、彼らの主張していたことは、こんなことだったと思います。

「データは新しい石油だ」などと言われてからもう10年になるが、相変わらず日本でデータから価値を生み出している組織は少ない。

確かにコロナ禍をきっかけに「デジタル化」は進展したが、それは主にテクノロジー、すなわち道具の導入が進んだだけ。

例の『DX白書』も良くない。道具の話ばかりしていて、肝心のデータから価値を生み出すという視点が欠けている。

つまり日本で言われている「デジタル化」やその先の「DX」は単なる道具の充実であって、データの利活用ではない。

しかし本当に求められているのは、データを活用して従来のKKD(勘と経験と度胸)に取って変わる意志決定(データドリブン)を実現し、ビジネスで価値を生み出せるようにすることなのだ。

データ分析会社の役員さまの主張としては、至極真っ当なことばかりです。頭がおかしくなったなどと一瞬でも疑ったことを、心から申し訳なく思う次第です<(_ _)>

ですが、いまだに「DX成功事例から見るDX推進の本質」(今私が考えたタイトルです)みたいなホワイトペーパーやセミナーが後を絶ちません。

そんなものを提供しているのはツールベンダーがほとんどです。要するにテクノロジーの導入が重要と考えている人たちが同じ考えの人たちに向けて情報発信を行っているわけですね。

しかし先ほどの役員さまたちの主張を聞いてしまった後では、「亡国」の行為とさえ思えてきます。

これは数年前から言われていることですが、「社内でDX、DXと騒いでいる会社でDXができた試しはない。DXが進んでいる会社は、自分たちのやっていることを具体的なプロジェクト名で表現する。ただプレスリリースやセミナーなど対外的なコミュニケーションではイメージが湧きやすいので『DX』という言葉を使う」のだそうです。

「DXを推進する」ことが重要ではなく、「データから価値を生み出す」ことが大切なのであり、社内でDXと騒いでいる会社はそのことがわかっていないし、逆にわかっている会社は騒がないということなのでしょう。

正直Web3の話など現時点ではどうでもよくって(実際ビジネス的には何も始まっていないに等しいですしw)、「DXという言葉は使用禁止にしませんか?」みたいなことをもっとみんなで言ったいいのになと思います。

ですが、「DX」という言葉ももはやバズワードというより定着してしまった言葉です。現時点では夢のような華々しい話題が多い、現役のバズワードである「Web3」と比べると地味なんで、誰も言わないのかもしれません。

「NFTの本などを書いた者が何を言う?」と思われるかもしれませんが、これは企画をいただいて執筆をお引き受けしたものです。とはいえ私の名前で出す本なので、NFTで投機をして儲けましょうなんて無責任なことはお勧めしていません。「ちゃんと法律を整備して、何が良くて何が悪いかを明確にしないと今後の発展はありませんよ」みたいなことを書かせてもらっています(とはいえ超入門なので華々しい話題も網羅的に取り上げましたけれど)。


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▼トランスジェンダーとしてエッセイを書いています。

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