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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

POCという言葉にはどうやら3通りの意味があるようだ

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AI、IoTなどいま流行りのIT用語は意味が曖昧なのですが、どうやらこの言葉も曖昧なようです。


ITに強いビジネスライターの森川滋之です。取材や調査で得た知見を、差し障りのある固有名詞は匿した上でお伝えしています。

今年に入ってからPOCという言葉をよく聞くようになりました。おそらく昨年ぐらいから流行り始めたのだと思います。

Proof Of Concept(概念実証)の略で、言葉自体は昔からあります。

僕が今年になってから聞くようになった理由は、アナリティクスやAI関連の取材記事を書くようになったからです。

この世界、どうしてもPOCが必要です。ディープラーニングを含む機械学習を実施する場合でも、従来のBIツールでビッグデータ解析をする場合でも、仮説を立ててそれに基づいてモデルを作り、データを使って仮説を検証するという流れだからです。

で、(アナリティクス分野における)POCのニュートラルな意味は、この仮説検証のための一連の試行錯誤のことだと思われます。これを「ニュートラル定義」と名付けましょう。

さてニュートラル定義におけるPOCには、明らかに目的が存在します。目的なしに仮説を立てて、それを検証しても仕方がないからです。

しかしながら、(BIもそうなのですが)AI分野において特に顕著なこととして、まだ触ったことのない組織が多いということがあります。こういう組織においては、目的は特になく、とにかくどんなものか試してみたいという欲求があります。

こういうお試しを称してPOCということもよくあります。これを「お試し定義」と呼ぶことにします。

ニュートラル定義におけるPOCにはもう1つ、これはまだ本番ではないという意識があります。それで、よくベンダー側は「POCばかりでお金にならない。『POC貧乏』だ」と嘆くのです。「本番ではない→ビジネス価値を生まない→無償or格安」という図式があるわけです。

ただし、ユーザ側にも開明的な人が出てきていて、「そもそも試行錯誤しないビジネスモデル策定もマーケティングもないだろう。POCは業務そのものだ」という人が出てきました。POCにもきちっと金を使うべきだと言うのですね。

このような新しい傾向の中で、MAGLABのようなPOCの支援をマネタイズする会社も出てきました。

POCも立派な業務だとするのを「業務だ定義」とすると、「ニュートラル定義」、「お試し定義」、「業務だ定義」の3通りの定義があることになります。そして、この3つを適宜使い分けているのが、現時点でのアナリティクスにおけるPOCの状況だと言っていいと思います。


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 97ページ分(全体の44%)読めますので、お暇ならどうぞ。
 ただ電車で読むのはお勧めできません。


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