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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

10年間できなかったことが一瞬で!

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情シス部門がデータを用意してくれるのを待ってデータ分析を開始していたのでは、もはや市場は変わっているという時代です。そこで現場部門自らが、蓄積データから必要なデータを抽出して分析することが流行しはじめています。

とはいえ、何から手を付けていいのか分からない企業も多いのではないでしょうか?


ITに強いビジネスライターの森川滋之です。取材等で知ったことを、言えない固有名詞は伏せてお伝えしております。

●正論なのだが・・・

ある大手企業の社長は先見の明がある人で、「データを活用しない企業は生き残れない、現場部門が自らデータ分析できる基盤を作れ」なんてことを、10年も前から情シス部門に命じていたのだそうです。

10年前はさすがに酷だなと思います。Hadoopはすでにありましたが、まだあまり知られていなかった時代です。日本ではようやく昨年ぐらいから「セルフサービスBI」「セルフサービス・アナリティクス」といった言葉が流行りはじめ、一部の先進企業で取り組みが始まっているという状況です。

とはいうものの、インフラが整ってきた最近になっても情シス部門は重い腰を上げようとしませんでした。彼らの言い分はこうです。「どういう分析をしたいか分からなければデータを用意できません。まずユーザー部門から分析の要件を出してください」

これって正論なんですが、やや古い正論です。確かにちょっと前まではそうでした。しかし今は違います。

どういう分析をしたいか分からなくてもデータを蓄積しておかなければならない時代になりました。そのために登場したのが、前回書いたデータレイクです。

しかし、この企業にはそもそもデータ基盤がありません。いきなりデータレイクと言われても、ハードルが高すぎる感じがします。

●BigQueryで、10年間できなかったことが一瞬にして

社長は、このまま情シス部門に任せていたら自分の目の黒いうちにデータ基盤などとてもできないと思ったようです。所轄部門を経営企画部門に変更しました。経営企画部門は情シス部門に頼んでも進まないことは熟知していたので、外部に提案を依頼しました。

最終的に提案依頼を引き受けたのが、僕が取材したGoogleのパートナー企業の社長A氏でした。

A氏の提案は単純明快でした。「どういう分析がしたいか分からないのなら、まずBigQueryにデータを蓄積しましょう。そして実際にクエリーを発行しながら、試行錯誤でやりたい分析を見つけましょう」

BigQueryとはGoogleがクラウド上で提供する企業向けアナリティクス基盤です(詳しくはこちらへ)。

ペタバイト級のデータ検索でも、数分でレスポンスが返ってきます。クエリーは標準的なSQLに準拠しているので使える人口も多いです。ただアーキテクチャの性質上、わずかなデータ検索でも数秒かかるのでRDBの代わりにはなりません。あくまでもビックデータ用の基盤です。

A氏の提案が通り、某大手企業は10年間作ることのできなかったデータ分析基盤を、一瞬にして作ることができたのでした。

●「とにかく使おう!」

僕はGoogleの回し者ではないのですが、A氏は信頼できる人なので、これも1つの選択肢としてありだと申し上げます(もちろんいろいろ比較するのが常道です)。

A氏のメッセージはもっと力強いです。「Google Cloud Platform(GCP)の中でも、BigQueryについてはあまりにも安いので(課金はストレージサイズと検索したデータ量の合算。実際に安い)、検討するとかしないとかではなく、今すぐにでも使うべきです。クエリーを発行しなくても、バックアップ用のストレージを超低価格で借りたと思えばいい」

要するに「とにかく使おう!」という話です。

では、A氏はそれで儲かるのか?

BigQueryの使用料では、彼らパートナー企業は儲かりません。BigQueryはあくまでドアノック商品であり、API開発や本格的なDWH構築で儲けるというのが彼らのビジネスモデルです。


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◆立ち読みはこちらで → http://s-morikawa.jp/etc/galley.pdf
 97ページ分(全体の44%)読めますので、お暇ならどうぞ。
 ただ電車で読むのはお勧めできません。


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