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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

6月4日 自主経営力~そんな会社、あれば入れて欲しい(#377)

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今回の松下幸之助さんのイイタイコトは、このようなことではないかと思います。つまり、部下は会社の命令だからといって鵜呑みにするのではなく、自分なりに解釈し、上に間違いがあれば正す。上司は、普段から部下の意見に耳を傾け、提案が出やすくする。

これ自体、何ら反対することはないのですが、実際にこんな会社があれば見てみたいなあとも思います。

システム開発という仕事柄、世の中で風通しがいいと思われている会社を中から見る機会が何度かありましたが、まあ、どこの会社でも部下の言うことなど聞いているふりをしてまともに取り上げませんし、部下は部下で上司にいらぬ気を遣っているものです。

私自身は、上司にも生意気なことを言う分、部下にもきつく言うというタイプだったので、それこそサラリーマン社会からはじき出されるようにして独立したわけですが、松下さんがいうようなことが実際に行われている会社があるのなら、ぜひとも入社させていただきたいと思います。

半分冗談ぽい話になりましたが、かなり真面目なことを書くと、上司と部下のこのようなコミュニケーションが必要な時点で、実は凡庸な組織だといえます。

『ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則』という本を遅ればせながら読んでいるのですが、それを読むと次のようなことが書かれています。

飛躍した会社は、飛躍の時点で人を選ぶ。一緒にやれる人だけを残し、また一緒にやれる人を外部からも探してきて、それ以外はやめてもらう。それから戦略を作る。

目を疑った人もいると思いますが、偉大な企業(定義は同書を参照してください)は、この順番なんだそうです。人を決めてから、戦略を決める。戦略を決めて、それに合う人を探すのではない。ということです。

このような会社では、会社の方針に関して、松下さんが言うようなコミュニケーションさえ必要ありません。みな会社にとって何がベストかを考えて働くという前提なので、結果だけで判断すればいい。

結果だけで判断されるというといっけん冷たいようですが、実は冷酷ではなく、厳格なのです。このあたりの違いも、ここでの短文では説明しきれないので、ぜひ『ビジョナリーカンパニー2』を読んでください。

なぜ、この本をこんなに強く薦めるかというと、私も今ごろ読んだので人のことは言えないのですが、あまり読まれていないだろうと思うからなのです。というのは、真似している日本企業が思い浮かばないから。

これは内容が悪いからではなく、我々の常識とはあまりにもかけ離れているからではないか?そのように感じるほど、意外なことばかり書かれています。

しかし、膨大なデータはうそをつかないし、意外だがすべて説明可能なのです。

何よりも「凡庸」な常識に依拠している限りは、凡庸から抜け出せないのは当然のことなので、この本に書かれていることは凡庸から抜け出す大きなヒントではないかと思うのです。

今日の一言)"凡庸"な常識を鵜呑みにしている限りは、凡庸からは抜け出せない。

本年の一日一言は、『松下幸之助 成功の金言365』を毎日1ページずつ読んで、自問自答するという趣向です。

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