6月1日 社員稼業~自営業が偉いわけではなく環境の違い(#374)
6月になりました。
今月の『松下幸之助 成功の金言365』のテーマは、「経営意識を高める」です。
その最初の話は「やっぱりこれか」と思うものでした。
会社の中で、独立経営者たれ、というもの。
しかしながら、私は会社員生活が長かったので、はっきりと分かりますが、そんな意識を持っている社員は(過去の私を含めて)ほとんどいません。
たしかに会社でも、営業であろうと技術者であろうと、当初立てた目標に達しない場合は、賞与が減ったり、場合によっては減俸・降格などの処分もあります。
しかし、リストラなどの緊急事態は別として、賞与の減額などはもちろんのこと、減俸・降格もたいした脅威ではありません。
会社の倒産という最悪の事態を除けば、リストラでもそれなりの退職金はもらえます。
松下さんは、自営業者の例としてうどん屋の主人ほかを挙げていますが、最低限の目標に達しない場合のうどん屋の厳しさに比べたらなんてことはありません。
私事で恐縮ですが、2010年度には月商(月収ではありません)20万円を切る月が2ヵ月(そのうち1ヵ月は10万円を切りました)あり、銀行の帰り道に死にたくなりました。つい最近のことであり生々しい記憶です。常に危機意識の中で生きています(その割にはダラダラしていると、こちらのブログの読者は思っておられると想像しますが・・・)。
こんな危機意識は、私も自分がそうなったから感じるだけのことであって、会社員のときには想像すらしていない感覚でした。
だからといって自営業者が偉いというわけではなく、親の稼業を継いでいる人は別として、私の周りでも(これも私を含めて)、性格や業績や会社選びに問題があって、やむなく独立した人がほとんどなのです。
そんな人たちでも、厳しい環境にさらされれば、仕方なく自分で考えるようになり、行動するようになって、なんとかなっているというのが実態です。自分を自分であきらめなければ、なんとかなるものです。
要するに環境の違いです。どちらかが偉いというわけではない。
独立経営者たれというのは、松下さんが経営者だから出てくる言葉だと思います。私は、もっと別の提案がしたい。
それは、会社員ならば、せっかく会社が提供してくれている資源を目一杯使い切れということです。
まず、会社の経費で手に入れているものは山のようにあるはず。
私は、源泉徴収という制度には反対です(給与所得者の納税者意識が希薄になるため)。しかしながら、会社員が経費が控除されないという愚痴をいうのもどうかと思います。
実際に自分で帳簿をつければ分かりますが、いかに我々は会社からモノや費用をもらっているか。
さらに、もっと大事なものを会社からはもらっています。それは、信用と人脈。
あなたは会社の名刺があるからよその会社や家庭に訪問できるのです。いきなりそれなしになると、最低でも数ヵ月は、ほとんどのところから門前払いを食らうことでしょう。一から信用構築するには、実に時間がかかります。
であれば、会社員であるうちから(いつクビになるかも、またいつ独立したくなるかも分かりませんから)、自分の信用を築く努力をしておくべきです。私は、そのようなことをやらないのが潔いと勘違いしていましたが、それなしで独立して、いらぬ苦労ばかりを味わいました。
※ついでに書くと私は、独立時に一銭の貯金もなかった馬鹿者です。それでも、なんとかなります。それどころか、数千万円レベルの借金を背負ってのスタートの人も周りには何人かおり、それでもなんとかなっています。なので、もしかしたら、ゼロやマイナスからのスタートのほうがいいような気もするのですが、さすがにこればかりはお勧めできません。
考えればいくらでも、会社にいる有利さがわかってきます。独立経営者たれ、などとは言いません。会社に感謝して、その上でちゃっかりとその有利さに乗っかりましょう。
今日の一言)会社に感謝。
本年の一日一言は、『松下幸之助 成功の金言365』を毎日1ページずつ読んで、自問自答するという趣向です。
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