この開店セールは間違っている(#220)
Q) 開店セールのときだけ流行っていて、あとは閑古鳥という店が多いが、開店セールは効果がないのでしょうか?
私の住む行徳では、最近立て続けに居酒屋とラーメン屋が開店しました。
それぞれ開店セールをやりました。
居酒屋は、ドリンク全種類半額、ラーメン屋は、ラーメン全種類半額でした。
居酒屋はセール中つねに満員。開店と同時でないと入れないぐらいの盛況ぶり。
ラーメン屋も、昼食時に行くと20~30分待ちの行列ができていました。
ところがセールが終わったとたん、どちらも閑古鳥になりました。
どちらも不味いわけでも、接客態度が悪いわけでもありません。立地は、どちらも駅から徒歩1分程度。悪いわけがありません。
居酒屋のほうはチェーン店で、となりの南行徳の駅前にもあります。そこは、もう5年以上やっているはずですが、いまでも流行っています。
ラーメン屋にいたっては、鹿児島県の大会で優勝したことがある店のチェーンです。3種類試しましたが、どれも他店にはない独特の美味さを持っています。
私は、単純に半額で食べていられたものが定価になったので、バカバカしくなって、みんな行かなくなったのかもしれないと思いました。
それも、あるでしょう。
しかし、居酒屋のほうもラーメン屋のほうも、定価も実は高くないのです。
いったいなぜ?
重要な努力を怠ったからだと思います。
彼らは一度食べてもらえればそれで分かる、と思ったのでしょう。
しかし、いまの世の中そんなに簡単じゃない。
セール中に訪れた人にも、すでになじみの店というものがあります。そのなじみの店に行く回数を減らさないと、再来店してもらえないのです。
であれば、そこそこ美味いとか、普通に接客態度がいいというぐらいでは、リピートはありえません。
では、死ぬほど美味いとか、めちゃくちゃ接客態度がよければいいのかというと、それはその通りなのですが、それを今の価格で提供するのは無理でしょう。
抜本的な業態の見直しが必要であり、根づくまでのコストや時間を考えると、踏み切るのはかなりリスクが高いと思います。
挑戦はいつも必要なことですが、日々少しずつ変えていくべきであり、無謀な挑戦は避けるのが賢明です(ビジネスホテルが明日からザ・リッツカールトンになれるわけがありません)。
では、私のいう「重要な努力」とは何でしょうか?
それは、顧客との絆づくりです。
絆づくりの第一歩は、顧客の情報を取ること。
ポイントカードを発行して、氏名・誕生日・メールアドレス等をゲットしてもいいですし(※)、アンケートを書いてもらって、お客様の声として、表の目立つところに貼り付ける手もあったでしょう。
※居酒屋でいえば、南行徳店は実はケータイにメンバー登録すればその日から割引というサービスをしています。行徳店もやっているのかもしれませんが、そのようなアピールはまったくありませんでした。
うちの商品を一度試してもらえれば分かるとか、一度来店してもらえればうちの接客態度は評価してもらえるというのは、企業側・店舗側のおごりに過ぎません。これは単なる売込みなのです。
流行っている店は、目的をもってキャンペーンをやっているのです。
今日の一言)キャンペーンは、商品やサービスを売り込むためではなく、顧客の情報(個人情報や感想)を取るためにやろう。
もちろん、開店セールなどやらずに流行っている店もたくさんあります。
独特の商品や世界観を提供している店です。逆にそこを目指すなら、中途半端な開店セールなどやらないことです。独自性で集めるなら安売りは逆効果だからです。
--
コミュニケーションについて一緒に考えるメルマガ「週刊突破口!」はこちらから