不幸を克服する考え方には、大きく3つあるようだが、どれが正しいかはよく分からない。ならば・・・(#194)
不幸のあとには幸福がくると考えてもいいし、不幸をチャンスと捉えてもいいし、不幸自体が存在しないと考えてもいい。
このところ漠然と不幸な感じがしていました。なんだか禍(わざわい=思わぬ不幸)が重なっているような気がしていました。
ようやく、そのような状況から抜け、幸・不幸について考える心の余裕がでてきました。
すると突然「禍福はあざなえる縄のごとし」という故事成句を思い出し、これはどういう意味だろうと調べ始めたのが発端でした。
●禍福はあざなえる縄のごとし
原典は、「史記 南越伝」の次の部分だそうです。
禍に因りて福と為す。成敗の転ずること、譬えば糾える墨の若し。
これについては、ネットで調べていると、三つの説明のしかたがあるようです。
一つは、幸福と不幸が順番にやってくるという説明。
一つは、幸福と不幸は表裏一体という説明。
もう一つは、両方の意味だとする説明。
私は、「禍福はあざなえる縄のごとし」の部分だけで考えると、一つ目の説明がふさわしいと思います。「人生万事塞翁が馬」と同じ意味です。
ですので、この記事では、その意味だとしたいと思います。
ただし、二つ目の意味だとする辞書も多いので、どちらが正しいかの議論は、専門的な知識が必要なのかもしれません。
とにかく「幸福と不幸は、繰り返しやってくるものだから、気にしなくていい」という考え方があるということで、これは多くの場合役に立つのではないでしょうか。
●禍(わざわい)を転じて福となす
「禍福はあざなえる縄のごとし」を、幸福と不幸は表裏一体と捉える人も多い理由は、さきほどの引用の「禍に因りて福と為す」の部分にあるのではないかと、想像しています。
この部分をみて、即座に思いつくのは、「禍を転じて福となす」という故事成句でした。もしかして、これが原典かと思い調べてみたのですが、実は原典は他にありました。「史記 蘇秦列伝」です。
蘇秦曰く、臣聞く、古の善く事を制する者は、禍を転じて福と為し、敗に因りて功と為す、と。
最近、ピンチが来ると「チャーンス!」と叫ぶ人が増えているようですが、まさに「禍を転じて福となす」という考え方です。
思わぬ不幸は、うまく解決すればさらなる幸せにつながるものだし、仮に解決できなくても自分の成長にはつながるという、良いポジティブ・シンキングの典型例ではないでしょうか。
これもアリだと思います。
●幸も不幸も自分の中にしかない
そもそも幸・不幸というのは、主観的な観念であり、同じ状況を幸福と捉える人も不幸と捉える人もいる。さらに言えば、幸福だとか不幸だとかを思うことは、煩悩のなせる業(わざ)であり、煩悩を克服すべきであるという考え方もあるようです。
私の場合で言えば、
- 早く結果を出したい
- 一生懸命やっているのに、誰も評価してくれないと感じる
- こちらは尽くしているのに、相手は返してくれない
- はじめてあった人に、それなりに価値のある人間と思われたい
などの「煩悩」が湧いてくると、不幸になるようです。
自分がいま不幸を感じている原因を、冷静に見つめなおして、それ自体を絶てば、自然と幸福になる。
おそらく、こうするのが一番いいと思うのですが、まさに仏業の世界であり、世俗の凡人には、なかなか到達できない境地です。
ただ、瞬間的に不幸な気分になったとき(たとえば、目の前の相手のいうことでムカつくなどの場合)には、これは煩悩から来るものではと疑うくせをつけるといいかもしれません。
なお、中国の故事成語からは、これに当たる言葉が見つけられませんでした。ご存知の方がいたら、教えてください。
●「幸福論」ともなるとかなり難しいことのようだ
幸福あるいは不幸を学問的に研究するとかなり難しいことになるようです。実際、多くの哲学者や思想家が幸福や不幸について発言していますが、これが絶対という結論は出ていないように思います。
この難しさを端的に表す例としては、放送大学に下記のような講座があることを示せば、十分かと思います。
▼放送大学 幸福の社会理論('08) シラバス
http://www.ouj.ac.jp/hp/kamoku/H21/kyouyou/B/sougou/s_1531409.html
我々としては、幸・不幸については、大きく三つの考え方があるということぐらいを押さえておいて、ケース・バイ・ケースで使い分けるのが実用的ではないでしょうか。
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