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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

ブランディングには2つのことが必要(#199)

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圧倒的な品質があり、その理由を伝える伝説の物語を伝道できれば、ブランド化する。

333営業塾のクライアントから、当社の製品をブランド化したいのだがという相談をいただきました。

ブランディングに、絶対必要な条件は

 圧倒的な品質

があること。

このクライアントは、それは持っていました。

●圧倒的な品質

品質とは何か?

JIS規格では、「品物またはサービスが、使用目的を満たしているかどうかを決定するための評価の対象となる固有の性質・性能の全体」と書かれています。

要するに、「顧客が要求することをどれだけ満足したか」ということです。

ソフトウェアを作っている人の中には、バグや不具合が少ないことを称して品質がいいと言う人もいますが、それは品質のごく一部の要素です。

クライアントには、圧倒的な品質を示す指標がすでにありました。

それは、この5年ぐらいで製品の不具合による返品が1件しかないこと。まさに99.9999%の信頼性です。

●伝説の物語

「99.9999%の信頼性」――キャッチフレーズとしては良いでしょう。しかし、それだけではブランドにはなりません。

ブランドには伝説になる物語があるのです。

ルイ・ヴィトンにしろ、ロレックスにしろ、ファイロファックスにしろ、アップルにしろ、ハーレーダビッドソンにしろ、みなそれがあります。

たとえばルイ・ヴィトンであれば、あのタイタニック号が沈んだときに海岸に流れ着いた荷物の中で、ルイ・ヴィトンの旅行バックに入っていたものだけは無事だった、という伝説があります。

そのようなことが、口コミされて、広まっていく。それがブランドです。

333営業塾の塾長吉見範一さんは言います。

ブランドとは焼印のこと。脳にジュッと刻み込まれればブランドになる、と。

●伝道が必要

実は、このクライアントには伝説もありました。

先代社長は、工事関係のビジネスをしていました。ある部品について、どうしても満足できませんでした。

それは、お客に安心・安全を提供できないから。

ならば、自分で作ってしまおう。

こうして、現在のクライアントの主力商品ができました。

クライアントは、HPにこの話を載せていますし、リーフレットも作って、はじめてのお客様への出荷時に同封しています。

なのにブランド化しない。

それは、伝道の努力が足りないからです。

我々は提案しました。

  • 名刺に要約を載せて、HPへ誘導する
  • チラシにも必ず要約を載せて、HPへ誘導する
  • 小冊子を作成して、配布する
  • 雑誌やラジオでも語る

他にもたくさんあるでしょう。要するに、しつこく伝えろということです。

それをどうもためらっている感じがします。

それは分からないでもないのです。

●自己開示は両刃の剣だけど・・・

伝説の物語を作ろうと思うと、どうしても自己開示が必要になります。

HPに載せている物語は、伝説化するには、リアルさが不足しています。詳細が描けていない。

リアルな詳細を描くためには、どうしても自己開示が必要になります。

自己開示をためらうのは、ポジティブな話ばかりでないからでしょう。

私自身、最近自分のネガティブな過去を語ったところ、強い共感のある反響をいただきました。しかし、逆に離れていく人も増えました。そんな気のめいる話は聞きたくないという理由です。

私自身も散々考えましたが、結論がでました。

売上=顧客単価×顧客数、というシビアな公式があります。

ブランディングというのは、顧客数を圧倒的に増やす方法ではありません。今まで存在に気づいてくれなかった顧客を呼び寄せるという意味で最終的に顧客数は増えますが、一時期は顧客が減ることも覚悟しなければなりません。

どちらかというと顧客単価を高めるための手段です。ブランドがトップシェアではないのです。

一時的な顧客数の減少を恐れると、自己開示できません。自己開示できないといつまでたっても伝説の物語はできません。

そこで、私は恐れずに自己開示を、しつこくやることにしました。

ちょうどそんなタイミングでクライアントから相談があったので、ちょっと渋っているようでしたが、強くお勧めした次第です。

※今回の記事は、メルマガ「週刊突破口!」の記事と同じネタで、書き直してみたものです。ぜひ比較してみてください。

▼週刊突破口!
http://www.itbt.biz/mailmag/000066.html

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