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ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

バッド・カンパニーと蝦蟇(がま)の油にビジネスの基本を見た(#180)

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一度ユーザーができれば、地道な継続をする限り、忘れ去られない。

昨日、気まぐれに筑波山までドライブしてきました。

筑波山神社の外に土産物屋があったので、ふらっと寄ると、蝦蟇の油(陣中油)を売っていました。

そのことを別のブログに書いたら、

  ガマの油売りですね。
  これが分かる人も少なくなってるんでしょうね

というコメントをいただきました。

確かに少なくなっているでしょう。しかし、忘れ去られることはない。

私は、このコメントを見て、先日日比谷の国際フォーラムで開催されたバッド・カンパニーのライブを思い出したのです。

●1973年結成のバンドが日本ツアー追加公演!

バッド・カンパニーをご存じない人も多いでしょう。そういう方は、こちらをご覧ください。

▼バッド・カンパニー(Wikipedia)
http://bit.ly/crxWaG

書いてあるとおり、1973年結成のブリティッシュ・ハードロック・バンドです。1982年までに6枚のアルバムを発表したのがメインの活動期です。その後、活動休止や、メンバー交替を繰り返し、1990年にけっこう売れたアルバムを出したりしていますが、同じレーベルのレッド・ツェッペリンと比較するとビッグネームとは言いがたい。

一時期は「産業ロック」と揶揄されるジャンルで勝負していたこともありました。現在ではその頃の曲もやりつつも、どちらかというとマニアックな渋好みな人たちを集めていると言えます。

私は友人に誘われたのですが、正直に言うと、「え?まだ、やってたの?」という感じでした。とはいえ、好きなバンドではあったので、気軽に誘いに乗りました。

場所は、国際フォーラムAホール。当日、友人にはじめてチケットの値段を聞いてびっくり!9,500円。いちおうS席なんですが、全部で5,000人入るAホールの1階の後ろから2番目の列の席。それで1万円弱なんです。

前のほうはいくらなんだ???

そして、もっと驚いたことに、会場は、ほぼ満員だったのです。

聞けば、今回の日本ツアーは、当初5回公演の予定が、チケットが完売したので、急遽1ヵ所追加したとのこと。

日本ツアー全体の観客動員は、会場の収容人数からみて、たぶん18,000人前後だと思います。チケットの平均単価は、ちょうど我々が払ったぐらいだと思われるので、1億7千万円ぐらいの売上です!

多数のスタッフを必要とするので、1億7千万円が成功かどうかは分かりませんが、私がやっているようなスモールビジネスと比較すると、6日間でこの売上高はため息が出ます。

ちなみに、上記はチケットだけの売上です。会場では、グッズがバカ売れしていました。3,500円のTシャツを何枚も買う人が、行列をなしており、しかも明治神宮の初詣のように、グッズ売り場に入るための交通整理まで行われていました。

『フリー』という本で、音楽コンテンツを無料でネット配信しても、ツアーをやれば、ぜんぜんペイすると言っているミュージシャンがいましたが、そのことを実感しました。

●中年主体だが若者も女性も増えている

バッド・カンパニーはいわゆるアイドルバンドではなく、全盛期のファンは、それこそ若い男性ばかりだったと思います。

1975年(前回の来日公演の年、35年前!)に大学生ぐらいだった人たちだとすると、私より7,8歳年上。現在50代半ばです。やはり、客層もそのあたりの方がメインで、実感としては80%ぐらいがそうではないかと思います。

ところが、私と一緒だったグループは、友人の社長が私より6歳年下、最初に友人の社長を誘った方が私より8歳ぐらい年下、その方の会社の同僚が私より12歳年下でした。私自身も55歳までにはまだ間があるので、これでも若いグループです。

そして、他にも、そのようなグループをちらほら見かけました。もっと若い人もいたかもしれません。また、女性もけっこう目に付きました。女性は、私よりも若い人が多かったようです。

どういうことなのか?

私より8歳若い人に聞いてみたら、物心ついたときは、LAメタルというアメリカのハードロックが全盛でそれを聴いていたが、ルーツを追い求めているうちにバド・カンに出会ったとのこと。

ルーツのバド・カンがまだ活動していたから、見に来た。こういうことなんでしょう。

●筑波で見たもの


t02200180_0352028810835743979.jpgさて、これがどう筑波の蝦蟇の油に結びつくのでしょうか?

何の気なしに入った土産物屋で、水槽に入ったガマ蛙を見ていました。

そのときに店のおじさんが示したものが、箱いっぱいの蝦蟇の油の注文書!

買った人が、また筑波まで買いに来るのは面倒だろうからと、商品に注文葉書をつけているのだそうです。リピーターがその葉書で次から次へと注文をくれるらしい。

よくあるマーケティング手法ではありますが(というより、「常道」として我々もクライアントに勧める手法です)、そもそも蝦蟇の油というものが売れているということを知らなかった私には、衝撃でした。

それで、おじさんに勧められるままに、お試し用の700円のほうを買ってしまいました。

ちょうど唇がかさかさしていたので、塗ってみたら、すぐに効いた!

たぶんリピーターになると思います。

●一度ユーザーをつかめば、あとはぶれないでやり続ける

バッド・カンパニーに関して言えば、一時期ぶれていた時期もあったのですが、現在は原点回帰をして、オールドファンを集めつつ、ルーツを求める新しいファンも取り込んでいるという形です。

とはいえ、バッド・カンパニーらしい時期というのが10年近くあったので、そこで元手を作ったという言い方もできるでしょう。

そして、こういうバンドは、バッド・カンパニー以外にもたくさんあり、けっこう集客しているのです。日本にもあると思います。

我々は、テレビに出ないだけで、忘れられたバンドのように思いますが、テレビになど出なくても、集客できるバンドはいくらでもあります。バンドではないけど、演歌歌手なども同じようなビジネスなのでしょう。紅白に1回出れば、一生食べるのに困らないという話も聞きます。

それと同じなのが蝦蟇の油。

昔とはパッケージが変わっているようですが、製品自体は昔のままです。マーケティングの手法を取り入れたりしていますが、ぶれない製品という意味では、これ以上のものは少ないと思います。

コメントにあったような「これが分かる人も少なくなってるんでしょうね」というのは事実だと思いますが、若い人も一度買えば、リピーターになる可能性は極めて高い商品だと思います(何よりも値段が手頃です)。

バド・カンも蝦蟇の油も、このまま続けていけば、将来安泰ではないでしょうか?

現在『デフレの正体』を読んでおり、本日中に読み終わる予定です。

この本を読んでいると、世の中、現場を見ずに頭の中の誤解だけで議論する人(養老毅先生のいう「バカの壁」です)が多いことがよく分かります。

これは、今日の話と共通するところがありますね。現場を見ないと本当のところは分からない。

また、ご紹介します。

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