オルタナティブ・ブログ > ビジネスライターという仕事 >

ITに強いビジネスライターとして、企業システムの開発・運用に関する記事や、ITベンダーの導入事例・顧客向けコラム等を多数書いてきた筆者が、仕事を通じて得た知見をシェアいたします。

石は石でいい、ダイヤはダイヤでいい~本当の適材適所とは?(一日一言 #99)

»

部下を育成しようというのは思い上がり。そのまま受け入れて、あるがままに働いてもらう。

●解説

タイトルの前半は、故本田宗一郎の言葉です。

一人ひとりが自分の得手不得手を包み隠さずハッキリ表現する。石は石でいいんですよ。ダイヤはダイヤでいいんです。そして、監督者は、部下の得意なものを早くつかんで、伸ばしてやる。適材適所を配慮してやる。そうなりゃ、石もダイヤも本当の宝になるよ。(本田宗一郎『得手に帆を上げ』)。 

みんな原石のダイヤ。それを磨くのがマネージャの仕事――みたいな表現をする人もいますが、こんな言葉より、本田宗一郎の、石は石でいい、ダイヤはダイヤでいい、のほうが私にはずっとずっと響きます。

というのは、「みんなダイヤ」みたいな言い方には、人の価値を評価するという気持ちが見え隠れするからです。また、「磨く」には「自分には人を育てられる」という驕りを感じてしまいます。

※「伸ばしてやる」には育てるという意味はないのか?皆無とは言いませんが、私には、ほめるとかみとめるとか、場合によっては叱る、ぐらいのニュアンスに感じ取れます。

ありのままに、自分らしく働いてもらえばいいのでは?

育成なんておこがましい。自分らしく働ける環境を作れば、人は勝手に「本当の宝」になっていきます。

●裏解説

こんなのきれいごと?

しかし、事例はたくさんあります。

こういう気持ちで続けていた本田宗一郎は、町の自転車屋を世界的な大企業にしました。売上は世界一でなくても、ホンダというブランドは冠たるものだし、また世界レベルでの尊敬を集めているように思います。

日本でいちばん大切にしたい会社』で、真っ先に取り上げられている日本理化学工業という会社があります。

50年前から障碍者雇用を推進し、現在では従業員の7割が障碍者です。

同社には、「障碍者を育てて、『健常者並』にしよう」などという発想はまったくありません。

 一人ひとりとつき合いながら、何ができて、何ができないのかということを少しずつ理解していき、人に合わせて工程を組み立てていく――。
 能力に合わせて作業を考え、その人に向いている仕事を与えれば、その人の能力を最大限に発揮させることができ、決して健常者に劣らない仕事ができることがわかったそうです。 坂本光司『日本でいちばん大切にしたい会社』 

本田宗一郎よりさらに進んでいます。同社では、業務を人に合わせているのです。究極の適材適所です。

日本理化学工業のメインの商品はチョークです。チョークの市場はどう考えても以前より縮小しています。しかし、日本理化学工業という会社は今後も継続していくことでしょう。このような会社をつぶしてはいけないと多くの人が思っているからです。

--

followme_04.gif


icon_ya_red.gif かけがえのないあなたのための自分軸メルマガ「週刊突破口!」の登録はこちらです。 

icon_ya_red.gif 自分軸を明確にするためのすべてをお伝えするセミナーはこちらです。

icon_ya_red.gif 無料メール講座で、我々333営業塾のことを知ってください。

icon_ya_red.gif 筆者のゆるゆるのイヌ・ネコ・メシブログはこちらです

我が333営業塾の塾長である吉見範一さんも、「部下の得意なものを早くつかんで、伸ばしてやる。適材適所を配慮してやる」ことで、素人営業マンばかりの営業所を半年でダントツの日本一にした経験があります。

マイラインのシェア奪回のための臨時の営業所の雇われ所長として赴任したのですが、とにかくほとんどの営業マンに営業経験がありません。15人中2人だけが営業をかじったことがある程度。

9ヵ月間の臨時の営業所なので、教育している時間もなければ、教育のツールもない。

育成することはあきらめて、とにかく客先への訪問に慣れさせることと、ペアで営業に行かせることでお互いの長所を見つけ出すことに注力しました。そして、行動し、気づいたことを朝礼で共有する。

book003.jpgそうしていくうちに、適材適所の合意が所員間で共有されていき、それぞれが自分の出番のある営業所となりました。

こうなると強いのです。そこが、自分たちの「居場所」になるから。

自分の居場所を守らない人はいません。みな自律的に働くようになり、チームとして最高のパフォーマンスを発揮するようになりました。

結果として、全国100箇所の営業所の中で、2位に2倍以上の差をつけるダントツの業績を生んだのです。

私はこの話に感動して、『奇跡の営業所』という本を書いたのでした。

 

ところで、私がいつも不思議に思うのは、このように卓越した事例がいくつもあるのに、なぜその真逆をやろうとする経営者が多いのだろうかということです。

うまくいっている会社のマネをせず、うまくいかない会社のマネばかりする――そんなキレイゴトではうまくいかないとか、経営者は清濁併せ呑まなければなどと言いながら。

たぶん、自分の言っていることの意味がよく分かっていない。

本田宗一郎や松下幸之助のような人が、一切キレイゴトは言わない、清濁併せ呑んでいる人だと思うのですが・・・。

 

おお!そう言えば、記念すべき100エントリー目ではないですか!

現在、ブログ・タイトルの変更を管理人に申請中です。

Comment(0)