商品単体では売りづらい。では、どうするか?
昨日(6月17日)は、東北の某都市へ行ってきました。
333営業塾のクライアントであるリフォーム会社のA社と、弊社のクライアントに紹介していただいたエネルギー関連会社のB社の引き合わせのためです。
今後すばらしい事例に発展していくと思いますので、差し支えのない範囲でご紹介したいと思います。
●A社の抱えていた課題
A社は、外壁リフォームを事業の柱としている会社でした。
極めて断熱効果が高く、また長持ちする外壁素材を扱っています。
東北ですから、外壁材の断熱効果が上がると、暖房代が大きく節約できます。
利益率も高く、また腕利きの営業マンもいたので、A社はかなり好調でした。
ところが、新築住宅が不況で売れなくなり、ハウスメーカーが続々とリフォームにも参入してきました。
そうなると営業攻勢が激しくなります。外壁のリフォームが必要な住宅は外から見れば一目で分かるので、やたらと営業マンが訪問してくるようになりました。
シェアを食われたということもあったのでしょうが、それ以上に、住人が営業マンを門前払いするようになり、営業が一気に難しくなりました。
悪いことは重なります。半分強の売上を一人で稼いでいた腕利き営業マンが体力的な問題で故郷に帰ってしまいました。
A社は一気に傾いてきました。
我々333営業塾がA社の社長とお知り合いになったのは、ちょうどこんなときでした。
●課題解決を売るというひらめき
この数ヵ月でかなりの紆余曲折がありました。
他の商品にも手を出したのですが、利益率があまりに低かったので、結局外壁専門に戻るという報告をいただいたのが先月末。
吉見塾長と私は心配になり、いろいろと考えました。
そんなときにたまたま東京のクライアントと懇親会がありました。あるエネルギー大手の関連子会社です。
ひらめいたのが、「光熱費を下げつつ環境に配慮した住宅」という顧客価値でした。
そこで、クライアントの取締役に相談しました。
A社の事情と私のアイデアを説明し、東北の某都市で強力してくれる会社はないだろうかと聞いてみたところ、B社を紹介してくださったので、今回の出張となったというわけです。
●B社も商品単体での販売には限界を感じていた
B社はエネルギー関連の委託業務を専門とする会社だったので、数年前までは営業をする必要がありませんでした。ご存知のようにエネルギー関連のビジネスは、地域においては独占事業と言ってもいいような形態だからです。
ところが、これもご存知のように、ガスと電気のシェアの奪い合いのように競争相手が隣から現れてきました。
B社の常務は非常に聡明な方で、数年前から危機感を感じておられ、営業力の強化にすでに取り組んでいました。
ただ、それでもやはり営業のマンパワーとノウハウが不足していることに課題を感じておられたようです。
私の提案は渡りに舟だった、とおっしゃってくださいました。
A社の社長も、一時期に比べるとかなり明るくなっていたのですが、このコラボレーションの成立でさらにやる気を増してくださったようです。
●顧客価値を考えると正しいコラボレーションができる
自社のビジネスの自分軸(「誰に」「何を」「なぜ」提供しているのか?)を考える際に、「何を」は顧客価値だと、このブログでも何度も言っています。
そのときに、自社だけで提供できるものを考えると、あまり大きな価値にならない場合があります。あるいは大きな価値はあるのだけど、イメージしてもらうのが難しいという場合もあります。
そういう場合には、自社だけで提供できるという枠組みを外して、顧客価値を最大にするにはどうしたらいいだろうと考えると良いことが多いようです。
A社の場合は自分軸を検討することで、「北国の子供たちのぬくもりと笑顔」という顧客価値が出てきたのですが、そのためには外壁だけでは不足だったかもしれません。
エネルギー関連会社と組むことで、さらに現実的でトータルなソリューションが提供できる下地ができました。
顧客価値を最大化にするためのコラボレーションですから、まさに正しい選択だと言えます。
これと対極なのが、品揃えの強化とか、バリューチェーンの実現によるコストダウンなど、企業同士の都合だけを考えたコラボレーションです。
もちろん結果として、顧客が便利になったり、価格が下がって顧客が喜ぶということもあるでしょう。
ただ、それは結果論であり、顧客の喜びが発想の原点になっているコラボレーションには敵いません。
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あたりまえのことを書いていますよね?
でも、意外と自社のこととなると分からなくなるようなんです。
だからこそ、コンサルタントなどという商売が成り立つわけですが。