電動キックボードはなぜ甘やかされるのか
今年、2023年7月1日から、電動キックボードが免許不要になり、ヘルメットも不要(努力義務)となり、ほぼ自転車扱いになることが発表されています。そして、このことについて、各メディアからも懸念する記事が出ています。
「電動キックボード 警察庁、基準満たせば"自転車並みの扱い"に 普及進むフランスでは規制の動き」(AMEMA TIMES)
フランスではルールを守らない運転が増え、事故も急増した。フランス医学アカデミーによると、2021年はキックボードなど1人乗りの電動乗り物による事故で2万人がけがをし、22人が亡くなった。それに加え、街中に放置されたキックボードが「パリの景観を損ねている」との批判も出ている。
そこで、パリのイダルゴ市長は電動キックボードについて、個人所有以外のレンタルサービスを今後も残すかどうかを問う住民投票をする方針を明らかにした。
「免許を持っていない人にとって移動に使いやすい。交通費を払えない人もいるし、(シェア禁止は)本当にひどい話だ」
「少なくとも歩行者のいる場所では禁止して、自転車レーンを走ってもらえれば。そしてヘルメット着用。もっと安全性があった方がいい」
パリでは、今年4月2日に住民投票が行なわれるそうです。少なくとも、電動キックボードを利用しない市民からは、歓迎されていないようですね。
「【甘口辛口】7月の改正道交法施行で手軽に乗れるようになる電動キックボード 本当に免許なしでいいのか、もう一度よく検討してもらいたい」(サンスポ)
わがもの顔で危険走行する自転車を歩行者が辛うじてよけることもある歩道に、新たな〝厄介者〟が乗り入れてくるのか。警察庁は現在は運転免許が必要な電動キックボードを自転車並みに手軽に乗れるよう7月1日から改正道交法を施行する。16歳から免許不要、時速6キロ以下で自転車が通行できる区間なら歩道も走行可能という。
サンスポでは、この規制緩和に関して、警鐘を鳴らしています。
ちょっと待った、といいたい。4月からは頭部損傷事故防止のため、自転車でのヘルメット着用を罰則はないものの全年齢で「努力義務」とする改正道交法が施行されることになっている。片方は引き締め、片方で信じられないほどの緩めよう。どう考えても矛盾している。
現時点で電動キックボードは、免許は必要であるものの、都内ではノーヘルは普通ですし、さらに右折レーンに入ることが認められています。原付きなら二段階右折でないと違反になるのに、原付きより軽装の電動キックボードはそうしなくていい。つまり、大型トラックや乗用車の間に、電動キックボードが走行しているという、ドライバーからするととても怖い状態です。
以前、都内を横行していたストリートカート(マリカーみたいな乗りもの)よりも怖い。
警察庁は「便宜性と安全性を合わせて追求したい」としているが、背景には外国人観光客の需要に応えるシェアリングサービスの充実という狙いもあるのでは、との声も聞こえる。ともあれ本当に免許なしでいいのか、もう一度よく検討してもらいたい。
こういうことを書くと「新しいことは何でも否定したがる」と言う人たちがいますが、それは違うと考えています。僕自身は、新しいものは歓迎ですし、電動キックボードもとても面白いと感じています。しかし、少なくとも都内の道路は、電動キックボードと自動車が同じ道路を走るように設計されていない。自転車でさえ、もともと自動車の車線しかなかったところに、跡付けて自転車の線を引いていますが、自転車と自動車が接触事故を起こさないような配慮があるわけでもない。
僕の家の近くですと、上野から浅草までの「浅草通り」には、広い歩道の一部を自転車専用にしているところがあるのですが、これまた跡付けなので、交差点付近では無くなってしまいます。その区間は、自転車がどこを走ればいいのか明記されていない。したがって各自の判断になってしまい、信号無視をする自転車ユーザーが大勢います。
最近では、そんな自転車の取り締まりを強化する報道を見かけますが、そんな中でなぜ電動キックボードだけは緩和されるのか。どう考えても不思議でしかなりません。また、レンタルの電動キックボードも、なんとなく独占市場になっているのもモヤモヤしてしまいます。ワイドナショーで、立川志らくさんが「何かあるんじゃないかと、疑ってしまう」とおっしゃっていましたが、それが正常な感覚だと思うのです。
免許不要で16歳以上、とありますが、15歳以下でも(見つからなければ)乗れてしまう現状、改めて彼らの警鐘に同意します。