経営とギャンブルの関係性、自分でどれだけ自腹を切れるか
UEIの清水さんが、興味深いブログを書いておられて、早朝から一気に覚醒しました。
ベンチャーや。兵どもが夢の跡。僕が学生ベンチャーを応援しない理由(長文)
UEIはベンチャーではなく、中小企業だとおっしゃっておられ、その理由も後述されています。
僕自身は、言葉の定義はさておき、気持ちとしてイシンはベンチャー企業です。それはともかく、学生ベンチャーの危うさはおっしゃる通りです。
仮になにか金になるスキルが社長個人にあったとしても、組織を運営した経験が全くないのなら、それは素っ裸でエベレストに挑戦するようなものだ。死なないかも知れないが、ほぼ確実に、死ぬ
最近は「エンジニアが社長をやろう」みたいな機運があって、それはそれでご自由にどうぞですが、僕がアドバイスを求められるとしたら絶対に反対します。経営者は、マネジメント経験がある人がいい。Google(現在のアルファベット社)が、エリック・シュミット氏を社長に起用したように。先日、エリック・シュミット氏の退任が報道されていましたが、それは創業者が20年近くで成長したから、だそうです。
貸借対照表の読み方がわからない、損益計算書に何が書かれてるのか理解できない、というようでは危険ですよね。また、営業に興味がない、というのも論外です。会社は収益を生んでこそ存在できるし、存続できる。
中には、他人のお金(つまりVCとか)を頼りにする人がいますが、清水さんはそこについても言及されています。
自分で自分の事業リスクが負えないような人間を、まともな経営者や投資家は信用しない。
だってだよ。「このビジネスは上手く行きます。僕は信じてます」と熱く語るくせに、「じゃあうまくいかなかったら借金返してよ。個人的に保証してよ」と言うと及び腰になるとしたら、自分で自分を信じてないと言っているも同然。(中略)
それでもハイエナたちはニコニコしながら数百万円のゴミみたいな資金、それこそ、親や兄妹や、ちょっとした友達に土下座すれば集められる程度、下手すればサラリーマンだって貯金すれば手に入る程度の資金をドヤ顔で出してくる。
ハイエナとは随分な言われ方でもありますが、実際にハイエナ的なVC、あるいはIT企業系VCは存在します。僕自身も、VCに乗っ取られ、創業者が追い出された事例をいくつも見てきています。中には、黒字化したとたん、経営者を「コミュニケーションスキルが低い」なんて理由で追い出すVCがいます。それもこれも、資本比率のあり方を理解していないから。つまり、経営者としての知識を含む「スキル」が不足している、ということになってしまいます。
ギャンブル依存症で身を崩してしまう人の特徴は、借金してでもギャンブルに注ぎ込んでしまうところだそうです。芸能人でギャンブル好きを公言している坂上忍さんは、自分の持ち金でしかやらない、とおっしゃっています。僕のようにギャンブルをしない人間から見ると、とてもおっかない使い方をするようですが、それでも「自腹」の範囲。他人のお金は使わないんですよね。
経営も同じで、ハナから他人のお金をあてにするようでは、お先がとても危ぶまれる。自分の身を切ってこその経営。そして、最初をしくじると次の手に苦労をする。そんなことを思い出させてくれるブログでした。