ややこしいおっさんにならない
興味深い本に出会いました。元電通社員の方が書かれたもので、「はじめに」では電通の労働時間のところからスタートしているのですが、決して電通特有の話ではなく、また広告業界だけの問題ではありません。むしろ、我々IT業界の人間が読むと「うんうん」「あるある」と声を出してしまいそうなことがたくさん書かれています。
その中で「おっさん的傾向と対策」という項の中に「ややこしいおっさん」という言葉が出てきます。
==引用==
仕事上では、誰しもややこしいおっさんから迷惑を被った経験をお持ちなのではないだろうか。ややこしいと一言で言っても色んな種類があるのだが、ここで指すややこしいは「自分が正しいと思い込む力」の強い人だ。
==引用==
「自分が正しいと思い込む力」というのは、ある意味ではいいことなのですが、ここに登場するのは「自分が正しいと思い込んでいる迷惑な人」のことなんですよね。かなり面倒くさい人です。
==引用==
仕事の能力やセンスなどというものは永遠ではない。いつかは時代に置いていかれる性質のものであるとするならば、そういう「自分が正しいと思い込む力の強い」、つまり、それによってこれまではうまくやってきた人、成功体験を重ねてこられた人は、ややこしいおっさんになる可能性が強い。
しかしながら、そういうテストステロン濃い目の人の方が上昇志向が強いから、企業の上層部というのはそういうタイプの人間だらけになってしまう。現実にそうなっていると思う。困ったことだ。
==引用==
成功体験って大事なことで、そういうことで自信を持って取り組めることでもあるのですが、一方で思い込みが強い人って、そういう人なのかもしれませんね。だから、部下の行動を見てられなくて、ついつい口を出したくなっちゃう。でも、実はその口出しが余計なひと言で、そのひと言のせいで仕事が増えてしまう。「余計な」残業の大きな要因ということですね。
かくいう僕自身も、喉元まで出かかることがありますが、それを出してしまうと「ややこしいおっさん」になってしまうのでしょうね。
ただ、本書は「ややこしいおっさんが悪い」という安易な結論ではありません。そうではなく、イチ社員だったとしても、ややこしいおっさんをどう食い止めるか、という工夫が必要だ、ということなんですね。ややこしいおっさんは、どこの会社にもいると思います。そのややこしいおっさんが、ややこしさを発揮する前に、社内の仕組みとしてそうならないようにする。そんなことが重要なのだろうと感じます。
ぜひ、経営者も管理職の方も、そしてイチ社員の方にもご一読いただきたいと思います。