そもそもCIOの責任と権限は?
そろそろ稼働開始をする企業が多い中、いかがお過ごしでしょうか。TechTargetに、IT部門の人がお腹が痛くなりそうな記事がありました。最近では、自治体でも「CIO」という肩書きを持った方がいるようになってきたようですが、一般企業においてその実態はどうなのでしょうか。いや、そもそもCIOの意味すら理解されていない企業や自治体が少なくないようです。
ITmediaの読者のみなさんならご存じの「CIO」とは、Chief Information Officerの略ですが、この「Officer」の英語の意味は、将校、下士官が語源ですが、民間企業においては「役員」または「幹部」を意味します。つまり、Information、日本なら情報システム部門でしょうか、そこに関しては責任と権限を持ち合わせた人のことであり、責任だけ押し付けられた人のことではないのですよね。ところが、この権現を渡されていないCIOが少なくないようです。だから、トラブっても解消するための予算を持っていないため、迅速に動けない、という悪循環に陥ってしまうようです。
このCIOは、以前の勤務先について、次のように話している。「私はCIOとして雇用されたが、やったことはただの御用聞きだった。戦略的な調整を行うことはなく、CIOとは全くの名ばかりだった」
この人がどんなスキルを持っていて、どういう発揮の仕方をして、精一杯やってもこうだったのかは知る由もないところですが、経営者の中には「君はCIO」「君はCTO」などと、肩書きばかり渡して責任を押し付け、自らは「ITのことは任せているから」と、自身のIT音痴を正当化している人がいるようです。
日本にはなぜ"IT音痴社長"が多いのか:日経ビジネスオンライン via kwout
経営者がITやデジタル技術に詳しくないと自覚しても、周りには、似たようなレベルの社長が多くいるわけです。すると、自分は特別ではないと安心してしまう。そして、ITに詳しくないことを正当化し始めるのです。
日経ビジネスでは、11月9日号で「デジタル音痴社長 会社を滅ぼす」という過激な特集を組んでます。さらに、サブタイトルとして「知ったかぶりが一番危ない」となっています。この「知ったかぶり」が、最近増えているように感じます。自分は、いろいろとクラウドサービスを使っているからITに詳しい(と思い込んでいる)経営者、経営陣が一番危ないんですよね。で、CIOとかCTOとか任命したところで、結局ITの本質を理解していないから、責任は押し付けるけど権限は渡さない。勝手に無駄なところに経費を使い、本質的なところで社内リソースだけでやり繰りしようとしたり、急ブレーキをかけてしまったり。
CIO、CTOの任命が本質的ではなく、経営をしていくうえで一番大事なことは何か、絶対譲れないことは何で、それは実はITの問題では無いかもしれない、といった視点が必要なのですよね。もう、「ITは分からない」なんて、経営者が言ってはいけない時代になっていると再認識する記事でした。