マヌケでも日本人が責任者、という現地法人をなくすべきだと
先日のブログは布石があって、一昨日からマレーシア、今日はシンガポールに出張で来ています。まぁ、経営者なので、自分で出張を作り出すわけですが。
昨日、JETROの方にお会いしてきました。前職から含めると16年もマレーシアにいらっしゃる方で、現地の事情に非常に精通していらっしゃって、とても役立つ情報をお聞きすることができ、大変感謝しています。その会話の中で伺ったことが、これからの日本企業にとって、とても大事な判断だと感じました。
マレーシアでもIT企業は人気だそうです。大卒の多くはIT企業を目指すそうですが、残念ながら日本企業は極めて不人気だそうです。これは、かなり前々からの日本企業がやってきた「事実」に基づいたイメージが深く根付いているようなのですね。
1.日本企業は給料が安い
2.日本企業は昇進できない
3.日本企業は労働時間が長い
1.日本企業は給料が安い
「え?マレーシアの企業よりは高いんじゃないの?」と思われる方もいらっしゃることでしょう。しかし、現実は、ことIT企業だけで見ると、必ずしも日本企業の給与は高くありません。SEやPMクラスになると、その差は歴然としているようで、日本企業では「現地人は安く雇うもの」という意識があるようです。なので、例えば日本から赴任している日本人は40万、50万だったとしても(さらに家賃補助もありますね)、現地の人は多くても20万から25万程度、つまり日本人の半分くらいが当たり前だと考えているところが多いようです。
しかし、現実ではマレーシアのSIer(マレーシアにもあります)のSEクラスでは、だいたい35万くらいもらっています。PMクラスになると50万以上の人も少なくありません。昨日、僕がお会いした方は、日本で言うと部長クラスですが、80万円相当の給与だと伺いました。(みんな、結構あけっぴろげに給与額を話し合います)
我々日本企業は、なぜそんなに現地採用の給与を落としたいのか。そこまでしないと利益を確保できないのか。考えるべきことが多いようです。
2.日本企業は昇進できない
これは昔から言われていることです。日本企業は、どんな人でも(極端に言うとマヌケでも)日本から赴任した人が責任者で、数年で入れ替わってしまう。現地のビジネスに精通し、実際に売上と利益に貢献していても、現地採用というだけで昇進できないところが多いのですね。なので、だったら昇進できる可能性のある欧米企業に行きたくなるのは当然です。
僕が中国を飛び回っていた頃、北京にある日本の某建設機械企業では、現地採用の方を責任者(総経理)にしていましたが、実際にはダブル総経理で、もう一人の日本人総経理の二人のサインがなければ何も動かない、という仕組みになっていました。見た目は現地採用の人を厚遇しているようでも、実情は違うのですよね。
3.日本企業は労働時間が長い
日本では改善された企業が増えてきましたが、日本企業の現地法人ではまだまだ残業時間が少なくないようです。また、終業後に居酒屋に付き合わされる、という不満も多いと聞いています。つまり、日本から単身赴任している人はヒマなので、仕事が終わってから飲みに行きたい。でも、現地採用の人は家族もあるし、別にヒマじゃないけれど、上司だから断りづらい。で、結果的に海外で(あんまり良くないほうの)日本文化を繰り広げていることになります。
当社の上海法人では、中国人が責任者で、彼が全てを判断し、経営しています。部下の昇進や待遇も彼が決め、あるいはマネージャーに任せているのが実情です。これは、別に自慢すべきことではなく、あるべき姿だと思うのですが、なかなかそうはならない企業が多いと伺い、日本企業は根深い課題を抱えていることを再認識しました。さて、今日と明日はシンガポールです。