音楽の進化と衰退をApple Musicで救えるのか
ポッドキャスト、backspase.fmの第106回で「音楽の衰退の理由」について、いろいろと熱く語られています。その議論の元になったのが、NHKのクローズアップ現代。
この番組の中で、以下のような流れになっています。
21世紀、音楽をデータ化して大量に持ち歩ける時代が到来。ネットで購入できるようになると1曲の値段は200円ほどに。さらに、無料動画サイトの登場などで、タダで音楽を楽しむ人が急増しました。そして音楽産業を支えてきたCDの売り上げは、最盛期の3分の1にまで激減したのです。
ただの音楽好きで、さほど考えていない僕などは「ほう、なるほどなあ」と納得してしまいそうですが、音楽をきちんと追いかけてきた人たちには、ちょっと違う見方があるようです。それが、こちらのtoggeterです。特に、ここにまとめられている@mazzoさんのコメントが刺激的です。
Koya MatsuoさんはTwitterを使っています: "日本の音楽業界の衰退は、音楽好きを泥棒扱いにした施策を打ち続けた結果、音楽を好きじゃない層にCD売らなくちゃいけないようになって、音楽好... via kwout
140文字という制限があるので、強い表現になっていますが、意味としてはこういうことだそうです。
1.90年代、小室哲哉全盛期などは、CDがバンバン売れていた。音楽好き、ダンス好きにたくさんのCDが売れた。
2.レンタルCD屋さんで借りてコピーする人が多い、と思い込んだ音楽レーベルが、CDにコピーガードをかけ始めた。
→これが「泥棒扱い」という言葉の流れ
3.その結果、買ったCDをいろいろな場面で聴いてみたい、と思う人たちから音楽を好きな場所に聴くという自由を奪った
4.近年になって、音楽はiTunesなど配信で購入する流れが一般的になり、アルバムで販売しても、その中の好きな一曲だけを購入できるようになり、全体的に売上が落ちてきた。
5.それでもCDを売りたい人たちは、握手券とか投票券とかを付けて販売し、結果的に購入しても聴かれないCDが氾濫するようになった。
→これが「音楽を好きじゃない層」の流れ
たしかに、僕も買ったCDをウォークマンに取り込めなくて困ったことがありました。MP3プレイヤーが販売され始めたタイミングで、せっかく小さいプレイヤーに音楽を入れられると思ったのに、好きな音楽を持ち出せない。かといって、いまさらCDをウォークマンかよ、というのもあり、泣く泣く諦めた記憶があります。その後は、そのレーベルのCDを買わなくなりました。
最近では、書店の存在意義がなくなってきた、などという話もありますが、書店によってはとても元気なように見えます。新宿タカシマヤの隣にある紀伊國屋書店は、とても工夫をしていらっしゃいますし、銀座の教文館ナルニア国は、子供を連れて行くと子供は帰りたがらないと思います。決して、すべての書店がダメなわけではない。音楽も同様で、ユニバーサルミュージックの藤倉社長は「時代に合わせて、楽曲のサビ(一番盛り上がるところ)を早めに持ってくるような工夫」という話をされていたことがあります。
時代を汲み取り、時代の先を行き、時代を作っていく。書くのはラクですが、実行は難しいことですね。