傘と長靴とタバコとお酒
今日は、少し僕たち日本人の価値観などについて。
とある外資系企業のCEOが来日されています。彼は今朝、雨の中をジャンパーのフードを被るだけで、傘をささずに歩き始めたそうです。一方で、いつもなら折り畳み傘を持つ僕は、さすがに長い傘がいいだろうと思い、さらに滑らないように長靴というより、登山靴に近いようなブーツを履いて完全防備。
しかし、雪はさておき、僕がシンガポールに住んでいた頃に、傘をさした覚えはほとんどありませんでした。記憶にあるのは、4年間いた中で一度だけモンスーンのような状態になり、当時は10年に一度の大雨と報じられた時だけでした。
僕は、過去に中国に出張で150回以上渡航しています。北は、北京より上、長春から南は広東省、香港。西は蘭州、ウルムチ、カシュガル(あと90kmでパキスタンです)まで行っていますが、傘をさしたことは一度もありません。スーツケースに折りたたみ傘が入りっぱなしですが、一度もさしていないのです。先出の外資系のCEOのように、フードだけあればいいや、という感じだったと記憶しています。
一方で、東京では23区のほとんどの地域で歩きタバコが禁止されていますが、あちこちで吸っている人がいます。当社のある中央区でも、歩きタバコはとても多いのですね。吸う場所に苦慮されていらっしゃる方がいる一方で、気にせずに吸っている人もいます。排水口は吸殻入れになり。。。
昨日から今朝にかけてのニュースで、シンガポールでは午後10時半以降に公共の場所(飲食店を含む)での飲酒を禁止することが決定し、4月から施行されるようです。僕のように酒好きからすれば、「え〜!マジっすか!」というくらいの驚き。健康的といえばそうでしょうが、酒は夜に飲むものなのに、と思ってしまったり。でも、シンガポールではそれが求められているのですよね。早くからタバコは1,000円くらいで、公共の場所で吸えない国ですし。
僕たちは、ついつい自分の価値観を他人に押し付けたり、あるいは外国の人たちに求めてしまったりすることがあります。しかし、同じ日本の中でも、育った地域や環境で価値観が違うように、たった、傘や長靴、タバコにお酒といった身近なものでさえ、価値観、存在感が違うのですよね。同じアジアで先進国のシンガポールとでも、これだけ違うのですから、太平洋を超えたり、あるいは人種が違ってくるとますます違う。それを、一括りに議論してはいけないのだなあ、と。
子供の喧嘩やイジメも、価値観の違いから来ることが多いように感じます。そして、大人のイジメも、「何でこれが」という価値観の違い。「常識」という価値観が視野を狭くすることによって起きている気がします。
日本の小学校では、平成30年から「道徳」の授業を「道徳科」として、「勉強」として教えることを始める、と文部科学省が発表しています。つまり、「道徳」に、正しいとか、間違い、を決める、ということになります。これは、価値観の誘導になるのではないか、と僕は懸念しています。イジメについても、その内容に入っているようですが、「嫌いな友達でもイジメてはいけない」ではなく「好き嫌いはダメ」ということだ、と昨夜のニュースで知りました。なんだかなあ、と思うのですが、いかがでしょうか。
ダラダラと書いてしまいましたが、我々大人が正しい価値観を理解し、相互理解をするチカラを持たなくてはいけない、と再認識した今日この頃です。
ZOHOのCEO、Sridhar Vembuさんの背中がとても頼もしく感じました。ありがとうございました。