崖っぷちという意識のないIT部門は、評価制度の見直しで変わる
昨日届いた「日経コンピュータ」の表紙が刺激的です。表紙だけ見れば何を言いたいのかわかってしまうところもあり。
中を開いてみると、最初のサブタイトルが『イメージは「抵抗勢力」』となっています。
利用部門1,000人とIT部門500人に実施した緊急調査から浮かび上がったのは、意識やイメージの大きな落差だ。IT部門を「抵抗勢力」とみなす利用部門も少なくない。
IT部門、情報システム部門などと呼ばれ、古くは電算室などという呼称もあったかと思いますが、企業のICT全般を担う重要な部門が、なぜ「抵抗勢力」などと言われ、迷惑がられるようになってしまったのか。もちろん、担当者個々の資質や性格もあるかも知れませんが、それが全ての企業に当てはまるはずもありません。
僕は、これは評価制度の問題だと思っています。僕がいつも思うのは、IT部門は普段は企業内の「おまわりさん」のようなものであるべきで、通常時は何も起こるはずもないので、日々のメンテナンスや中途入社してきた社員のPCのセットアップとか、それくらいしか仕事がないはず。
ところが実態は、あれだこれだと本当に必要なのかどうかも分からないデータを取り出す仕事や、経営データを加工する作業などあれこれと「雑用」が降りかかり、「おまわりさん」をさせてはもらえない。
つまり、「おまわりさん」のようにゆったりすることを、一人たりとも認めていない体質がそこに至っているように感じます。
で、いざとなったとき、営業部門から新しいリクエストが来たり、タブレットの導入というトップダウンのプロジェクトになると、IT部門は忙しくて対応し切れない。どうしても「そういう対応」をしてしまうと、「あいつら、めんどくせーな」なんて陰口を叩かれる。非常に割の悪い立場になってしまっています。
実はこれはIT部門に限った話ではないのですが、どうでもいいアウトプットをさせるために、朝から夕方まで時間拘束していることが本質ではないことは誰しもわかっているはずなのに、それによって評価される仕組みのせいで、いざとなったときに動けなくなってしまっている。
本誌では、営業部門のリクエストに応えないIT部門に対抗して、営業部門が独自でクラウドサービスの導入を推進する事例が掲載されています。これ、実はあちこちで起きていることです。本誌では「IT部門はロクに検討もしないで突き返した」となっていますが、ロクに検討したかどうかは見えないところ。検討しようにも普段から時間がないので情報収集も出来ていない。ある日突然、検討を要求されても時間が足りない。情報収集に外出することも難しい中で、IT部門のパフォーマンスが上がるはずもなく。
こういう特集で煽るのは勝手ですが、取材の中で「評価制度」に対する見落としがあるように感じた、そんな朝です。