ビジネスの現場にMBAは役立つだろうか
昨日、一昨日と、南場智子さんの「不格好経営 」という著書をご紹介いたしましたが、本書の最後のほうで南場さんが「MBAは役立つか」という項を立てて、その中でこのように書いておられます。
ビジネススクール2年間で一度だけ、はっとするような学びの瞬間があった。(中略)「それでも今決めなきゃいけないときってあるでしょ」とクラスメートに一蹴されたときだ。会社の管理職出身のクラスメートと、材料がそろうまで踏み出せないコンサルタントの自分の違いに気づくことができた。
学びがゼロかというと、そうではないが、そのために2年間も使うのか、を問いたいところ。
僕自身、大学時代にMBAの授業を受けたことがあるけれど、修了はしていないという中途半端な立場ですが、少なからず学ぶところはあるのだろうな、とは思っていました。さらに、南場さんの言葉は続きます。
ビジネススクールに行くことで人脈ができるのでは、ともよく訊かれるがそうも思わない。逃げずに壁に立ち向かう仕事ぶりを見せ合うなかで築いた人脈以外は、仕事では役に立たないと痛感している。
こちらは、納得出来ます。僕は戦争とか戦うという言葉が好きではないのですが、それでもあえて「戦友」と呼んでいる仲間がいます。それは、一日のほとんどを一緒に過ごすようなプロジェクトを共にした仲間。それは何年経っても、当時と同じような付き合いができますし、今でも仕事で繋がっている人たちもいて、お互いの腹の中が分かっているというか、信頼関係が出来上がっているのですね。
最後に南場さんは、このようにも書かれています。
人脈オタクのように、あちこちのパーティーに出かけていっては名刺を集めまくる人を見ることがあるが、趣味ならともかく、名刺もフェイスブック友だちも残念ながら役に立つ人脈にはならない。
人脈オタクというのがどのようなものか分かりませんが(笑)、言いたいことは分かります。最近で言うと、あちこちの勉強会に顔を出しては名刺交換を目的とする。その割には、フリーランサーでもないのに個人名刺だったりして、自分の正体は証さない。そこでフェイスブック申請して繋がったところで、たいした関係にはならない、という意味なのでしょう。そこがスタートじゃない、ということですよね。
僕の友人には、たくさんMBAホルダーがいらっしゃいます。それぞれいろいろなご意見があるようで、やはり役だった、という人もいれば、「うーん、あんまりね」と仰有る人もいる。MBA取得がゴールではなく、そこから先に何をするのか、ということが大切なのですよね。不況になると資格が流行るという言葉を聴きましたが、そういう側面もあるのかも知れません。