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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

人は、褒められたり、認められたり、暖かい言葉を投げかけられたりするからこそ、より頑張れるのだと思う

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昨日、東京大学の中原淳さんのブログを読んでいて、ああ、そうだ、そうだ、と膝を100回くらい打って、100回くらい頷いてしまいました。
※ 「罵倒されて目を輝かせる人はいない!? (罵倒 - なにくそ - きらきらはありえない!?):「発憤させる」というロジックで行使される「象徴的暴力」」 (2013年1月29日UP)

人間、罵倒や威嚇、脅しで動くことってない。 動くことはあるけれど、心から「そうしたい」と幸せな気分を持って動くことは、、、、ない。

以前、30代くらいのリーダークラスの方がこんな話をしてくれました。

「うちのボスが、いわゆる”昭和”上司でね、部下を罵倒するんですよね。なんというか、すごいキツイ言葉でしかりつける。人前でも大声で怒鳴る。言葉づかいも当然、キツイ。”馬鹿やろー””何考えてるんだ””やる気あんのか”・・・みたいな感じ。言ってる内容は、至極まっとうというか、部下側は言われても仕方ないようなことなんです。なんせ、そのボス、仕事できる人なんで、出世も人より早くて。 自分ができてきたことを部下ができないのが許せないんでしょうし、だからこそ、指摘も本当にその通りの内容なんだけど、でも、効果ないんですよね、その罵倒」

「ほぉほぉ、それはなぜです?」

「だって、罵倒された部下たちが後で何を言っているかというと、”あの言い方はないよねー””あの言葉づかいはないよねー”なんですよ。内容なんて全然響いてなくて、言い方、表現の仕方にばかり反応しちゃう。だから、効き目なく、かえって反発心だけを生む。」

「なるほどね。」

・・・・・・。

この方がおっしゃること、よくわかります。

どんなにいいことを言っても、その表現方法がよろしくなければ、内容が相手に伝わらない。伝わらないだけならまだしも、反発まで生む。状況は改善されないばかりか、関係も職場のムードも改悪されていく。

このリーダーは、罵倒されている部下層とのちょうど中間に位置しているので、上司に勇気をもって時々は「もう少し言い方を・・・」と提案してみることもあるそうですが、まあ、そんなこと言われて言うことを行くような上司でもなく、だから、状況は一向に変わらないのだそうです。

文句言いたい時、誰かを叱りたい時、大声出したり、キツイ言葉で言い募ったりすると、相手が動いてくれるように勘違いするけれど、その時、もし相手が動いたとしても、「ここから反省して」「こころからそうしたいと思い」やっているわけではない、ということ、よく考えたほうがいいんですよね。

クレームを言う場合もそうです。

例えば、お店などサービス業の方相手に時々すんごい剣幕で怒鳴っている人、暴れている人(?)がいますけれど、もちろん、それで、サービス提供者側はアクションを取ってはくれますが、気分よくしているわけではなく、「お仕事だから仕方なく」対応してしまう。そして、心に傷を残す。そればかりか、その怒鳴り声を聞いている、全く無関係な第三者まで不快菌が伝染する。

「ああ、嫌な場面に遭遇してしまった」

と。

クレームを穏やかに紳士淑女のように伝える手もあるんです。そして、ふつうに穏やかに冷静に伝えるほうが、実は、相手にもびしっとぐさっと響くのですね。

「いつまで待ったらオレのカツカレーが出てくるんだー。どれだけ待たせるんだ! 店長呼べ!」(←大げさに書いてみました)

というよりも、

「私、13時にはオフィスに戻らないといけないので、とても急いでいます。早くカツカレーを出してもらいたいんです」

と背筋伸ばして、びしっと伝えるほうが、

「大変申し訳ないです。いますぐご用意します」と店員さんも心から詫びられると思うのですよね。(んで、こーゆう表現を”アサーション”とか”アサーティブ・・”などと言います)

中原さんのブログは、「相当厳しい言葉でなんか発奮しないよ」ってことを書いていますが、発奮を引き起こすなら、もっと上手なやり方があるはずです。

褒める、認める、いいよ、いいね、いいいいいいい、いいから、もっとやって。

褒める場所が見つからないから、叱咤激励して、発奮しているんだよ、と思うかも知れないですが、ちょっとでも何かしている人がいたら、そこをすかさず「いいね」と指摘する。そして、「いいから、もっと上を目指して」「いいね、だから、もっとさらに難しいことやってみて」とハードルを少しずつ上げていけばいいのだと思うんです。

とても高いレベルのことができるようになったら、褒めてやるよ、というのではなく、少しでも1歩でも前進したら、「いいね」という、そして、「ストレッチ」を促すような励ましをする、さらに頑張ったら、「いいね」とまた言う。

そんな風にされて初めて、人は、「発奮」するんじゃないかと思います。

私なんて、小心者なので、「ダメだ」「下手くそ」「バカじゃないの」などと言われたら、すぐ心が折れて、何かをする勇気も失いそうです。

上を向いて歩くには、周囲からの、「いいね、いいね」が必要で、それがチカラになるんだと思うわけです。

いいね、いいね、いいね、いいね、いいね、いいね、もっとやって、
いいね、いいね、いいね、いいね、いいね、いいね、さらに挑戦して。
いいね、いいね、いいね、いいね、いいね、いいね、その調子で続けて。
いいね、いいね、いいね、いいね、いいね、いいね、次も楽しみにしているよ。

こういうハッピーな言葉から生まれる「発奮」のほうが誰もが幸せな気分になれるように思います。

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