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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

お母さんの味噌汁を褒めてみる-承認のお話-

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ある研修で「人は誰でも話を聴いてもらいたいと思っているし、承認欲求も持っているんですよねぇ」なんて会話をした翌日、受講者のおひとりが、こんな報告をしてくださいました。

「夕べ、妻と会話するときに傾聴とか共感とか承認を意識してみました。普段よりはちゃんと話を聴けたように思います。それよりも、やってみてわかったのは、自分がいかに普段妻の話を聴いていないか、です(苦笑)」

さらに
「うちの息子が案外”承認”上手だったのでびっくりしました」
とおっしゃいます。

「ほほぉー、どのように?」

「久々に家族で食卓を囲んだのですが、味噌汁を出しながら、妻が『ちょっと味が薄いかも知れない。最近、だんだん薄味を好むようになってきたから。でも、あなたには薄い感じがするかも』と息子に言ったのです。すると、息子が『うん、でも、具がたくさん入っていて、いろんな味がしておいしいよ』と答えていて、ああ、息子はちゃんと承認しているなあ、と感心しました」

・・・

いい息子さんですねー。

母上のお料理に無反応な子どももいると思いますので、「おいしい!」というだけでもすごいことのように感じますが、さらに、「具がたくさん入っていていろんな味がしておいしい!」と答えるというのは、なかなかできた息子さんです。

一般にフィードバックとは、「よい」「悪い」とただ伝えることではなく、「何がどうだった」と具体的に指摘することのほうが意味があると言われています。

「おいしい」より「具がたくさん入っていていろんな味がするからおいしい」と言われると、このお母様は、自分がしていることの何がどうよかったのか、具体的にわかるので、これからも「具だくさんの味噌汁を作ろうかな」などと思えるはず。

指摘は、具体的に、明確に。「何が」「どのように」が大事なんですね。

褒めるのが苦手だとおっしゃる方が多いのですが、「具体的に指摘」「具体的に描写」するだけでもかなり多くのことが相手には伝わるものです。

「プレゼンテーション、上手ね」というよりも、
「プレゼンテーションするとき、前を向いて堂々と大きな声で話すのがいいね」と言ってみる。

「お絵かき、上手ね」というよりも、
「たくさんのクレヨンを使っているからカラフルね」と言ってみる。

「結果」よりも(だけでなく)、「プロセス」を指摘する。そうすると、色んな行動の強化が図れるわけです。

「たくさんの具が入っていて色んな味がする」というのは、承認の、とてもよい見本になっていると思います。

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