オルタナティブ・ブログ > 田中淳子の”大人の学び”支援隊! >

人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

研修は目的ではなく手段、そして、きっかけ作り。いかに実務につなげていくか。

»

8月から携わっていたあるクライアントの管理職研修が今月終了し、成果報告会に参加させていただきました。成果報告会そのものは社内で行うものでしたが、ぜひ同席をとお招きいただきました。

この管理職研修は、月に1日、3か月で集合する学習機会は3回だけ。研修と研修の間は3-4週間開けてあり、各研修で「今後の1か月ですること」を決めて、実践してはまた研修に戻ってくる、というタイプのものです。

つまり、こんな感じです。

●事前課題→研修(1日)+課題設定→職場で実践→研修(1日)+課題設定→職場で実践→研修(1日)+課題設定→職場で実践・・・・

「職場で実践」では、「社内の誰かを選び、対話してくる」とか「上司に面談してもらいフィードバックを受ける」とかいくつかこちらからも宿題を出していますし、当然、自分で「これをやる!」と決めたいくつかのことを行ってもいただきました。

昨日の「成果報告会」では、参加された管理職の方が、最初の戸惑いや実践におけるむずかしさも口にしつつも、どなたも「でも、何かをやってみると、部下や周囲に対する影響が変わり、結果的に部下が変化したり、チーム全体のムードが変わったり、そして、仕事の進み具合とか結果もかなり変わってきたと思う」とおっしゃっていました。


「研修そのものよりも、そこで講師や同僚から聞いた話、アドバイス受けたことを、職場で試してみるのがとても楽しかった。もうすぐ試したくて試したくでうずうずした。試してみると、部下にも変化が訪れて、もっと楽しくなった。 いろいろ悩んで試行錯誤してきたけど、こういう風に自分が変わればいんだ、自分の行動を変えていけばいいんだ、とわかったら、とてもわくわくした」とおっしゃった方もいらっしゃいました。

「試してみたくてわくわくした」なんて、聞いている私がうるうるしそうなコメントです。

経営者の方からも「ここ数か月で明らかに変わった管理職。そして、メンバたちも変わった。仕事の成果にも結び付いてきている。」とフィードバックを受けました。

研修はどうしても、単体で実施するものになりがちです。時間も予算も制約がある中で開催しようとすると、1日かせいぜい2日行って、そこで意識づけをしておしまい、となってしまうことが多く、提供側としては、「できれば、間を開けてフォローしていく」とか「職場での実践とセットで考えましょう」と提案しておりますが、それも現場を巻き込めないケースもあって、いつも悩むところです。

今回は、経営者からのトップダウンだったこともあり、また、実践期間には経営者が管理職の方たちが行うことに対して熱心に支援してくださったことも手伝って、そして、何よりも参加された管理職の方たちが真面目に前向きにあれこれと果敢に取り組んでくださった結果、3か月で「多くが変わった、組織が変化した」という成果につながったと思います。

研修が目的なのではなく、研修というきっかけを経て、自分の行動を変えたり、組織に与える影響を変化させたりしながら、最終的に目指したいことは、組織目標の達成なはずです。

研修は研修、実務は実務、と切り分けて考えるのではなく、研修という形式的な学びの機会と実務という生々しい学びの機会をいかに融合させるか、これは私たち、人材育成の支援に携わる人間が常に考えなければならないことでもあります。

人間は何歳になっても変われるのだなあ、と改めて思いました。

うまくいかない時は、「うまくいかない」という生活習慣がついているだけで、「うまくいくような」生活習慣が身につくためには、一つ一つのことを地道にこつこつ繰り返すしかないのですよね。

とても素敵な成果をお聞きし、感動しつつ、帰宅した夜。
これからも、もっといい仕事ができるよう頑張ろう!と志を新たにいたしました。

Comment(0)