最近、褒められたり、感謝されたりしてますか?
仕事柄、あちこちの企業にお邪魔します。接する相手は新入社員から部長くらいまでです。(研修講師として、出会う方は幅が広いのです)
最近は、私の年齢も上がってきたので、担当する研修の受講者層もリーダーから管理職層になってきました。
いわゆる「中間管理職」。
「最近、褒められました?」
「誰かに感謝されたことありますか?最近」
こう問うと、
「あー、誰からも褒められてない」
「褒めてもらった記憶がない」
「ダメだしとか厳しい注文はあるけど、感謝の言葉なんて聞いたことないなあー」
という答えが。
管理職って、実は、悲しい。
さらに上の上司からは、「目標達成しそうか!どーなんだー」と尻を叩かれ、部下からは「あれこれ」陳情が来て、あっちからもこっちからも注文は付くけれど、褒められたり感謝されたりしていない。
いや、実際は、管理職だけじゃなくて、経営者も一般従業員層もみんな同じ。
感謝とかねぎらいとか褒められるとか、絶対的に不足している。
「ビタミン不足」だとあれこれ身体に不調が生じますが、
「褒められ不足」も「感謝され不足」もやはり、心身によいわけがない。
でも、
「褒められない」「感謝されない」と自分がされないことには関心が向くけれど、じゃあ「みなさん、他者を褒めてます?」「誰かに感謝を伝えてます?」と尋ねると、
「それもあまりしてないなー」
「褒めるなんて照れくさくて」
「部下に感謝なんて・・」
と途端に歯切れ悪くなります。
こういうのって、持ちつ持たれつ、Give & Takeなので、「誰かを褒めたことないのに、自分は誰かに褒められたい」「誰かに感謝を伝えていないにに、自分は感謝されたい」というのは、なかなか成り立ちにくいと思うのです。
さて、わが職場。
自社のことでなんですが、マネージャ陣がなかなかよいキャラです。
私、来週、日帰り関西出張、1日で往復1000kmの旅をするのですが、その「出張申請」を直属上司不在のため、本部長にサインしてもらった時、「こういう出張なんだ」と事情を説明したところ、サインし終わった本部長から「体力的にはちょっとキツイですね。よろしくお願いします」と言われました。こういうの、うれしいですねー。
先日、ちょっとハードな仕事が無事終了したことを直属上司に報告した時は、「お疲れ様でした。無事終了してよかったです。ありがとうございました」と言われました。
よく観察していると、うちのマネージャたちは、
「ありがとうございました」
「お疲れ様でした」
「助かります」
「よろしくお願いします」
という言葉を部下たちによく使っています。
いいことですよねー。こういう言葉を聞いている部下も上司に「ありがとうございました」「助かりました」「感謝感謝!」と臆することなく使うようになるはず。いや、実際にそうなっています。
褒められたい、感謝されたい、と求めるものがあるとき、自分から他者を褒める、感謝する、ってことから始めてみるのは大事だと思うのです。
それと、部下の立場からすれば、やはり、「上司だって褒められたい!」「上司だって感謝されたい!」と思っていることを理解しておくことも重要ですね。
「ありがとう」と言われて怒る人はいないし、褒められて嫌な気持ちになる人もいないでしょう。
不況が続き、ぎすぎすした職場が増えていると聞きますが、少し前向きな言葉を一人ひとりが使うだけでも、オフィスのムードって変わってくると思うのです。
よく、「うちの会社ってさー、ムード悪いよねー」とか「うちのチームって、なんか雰囲気くらいよねー」と評論しちゃうけれど、その「空気」を作っている人の中に「自分」も含まれることは忘れてはいけないなあ、と思ったりしています。
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最近、仕事上必要だったため、パワーハラスメントや「ぎすぎす職場」についての本をたくさん読みました。読めば読むほど、ひどい目に合っている人は世の中にたくさんいるんだなあ、と思うとともに、「ちょっとした行き違い」からだんだんと関係がおかしくなることもあるのだなあ、悪気があるないに関係なく、何かがエスカレートしてしまうことって、誰にでも起こりうるのかも知れない、などと考えてしまいました。
これらの本を読み、「私の職場はとてもいいムードだ」と再確認できたことは収穫でした。
なお、「パワーハラスメント」というタイトルの本の著者、岡田氏が「パワーハラスメント」という言葉を作ったそうですが、この本には、しっかりとこんなことも書かれています。
「上司を怒らせない、不安にさせないような仕事ぶりをすることも部下には必要だ」と。
つまり、ホウレンソウもない、指示したことをちゃんとしているかどうかも分からない、その上、少し指摘したり、注意したりしたときに暖簾に腕押しな態度をとる、などということを部下がしていると、上司だってだんだんと感情が高ぶってきて、したくもない叱責をすることとなり、それがエスカレートすれば「パワハラ」と認定される領域に入っていってしまう、というわけです。中で紹介されている事例の一部には、「パワハラで訴えられた上司」のほうが気の毒、というものもいくつかありました。だから、この岡田さんは、「部下だってしっかりせい。義務と権利は両方果たさないとね」ということもきちんと述べていらっしゃり、その部分は、とても納得いきました。