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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

「他に何かありますか?」という問いかけは、あらゆる場面で応用できるように思う。

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これ、以前も書いたかも知れませんが(最近、物忘れがひどくなって、同じ話をなんどもしたり、何度も書いたり・・・。なので、あしからず。出だしが同じなだけで、内容はたぶん違います。新ネタも書きますので。)、

病院で患者の不満や不安を解消するのに役立つ言葉として、「他に何かありませんか?」「他に何かありますか?」「他に私にできることはありますか?」が新聞の医療関係コラムで読んだことがあります。

入院患者の場合、忙しそうに見えるナースにいちいちナースコールするのも躊躇するけど、でも、少し不満、あるいは、不安がある、というケースがままある。

たとえば、寝苦しい。枕の位置を少しだけ変えたい。でも、自分は身動きできず枕を動かせない。点滴の管の場所を少しだけ変えたい。サイドテーブル上にあるお茶を飲みたい。でも取れない。そういう程度のことでナースコールするのもなんだなあ、と我慢してしまう、というのです。

健康な時であればそれは気にならない、苦にならないことでも、患者という立場ではそういう小さいこと(小さくないかも知れませんが)の積み重ねで、不安増大、精神的にも落ち込んだりすると。

そんな時、ナースが検温でもなんでもいいんだけれども、病室を訪れた際、その時の用(検温など)を済ませたらすぐ部屋を出ていくのではなく、「他に何かありませんか?」「私にできることはありますか?」という、たった一つの質問を投げかけるだけで患者の些細な課題が解決し、満足度が上がるといった内容だったと思います。その一言を励行する運動を院内で図ったところ、患者や患者家族からのクレームも格段に減ったとも書いてあったように記憶しています。(半年くらい前に読んだ記事なので記憶はあいまいですが)

それでですね。病院だけじゃないな、と思ったのです。

たとえば、お客様と打ち合わせをする際、その時のメインのテーマというのがあります。それが終わって、「これとこれをこうすることで決まりましたね」と確認して、そのあと、もう一言「他に何か気にかかっていることはありますか?」「他に私どもでお手伝いできることはありますか?」といったような、「他に何か?」質問をすると、たいていの場合、「うーーーーーん」としばらく考え、そして「あ、あります」だったり、「いや、大丈夫です」だったり。この「うーーーーーん」としばらくは考えていただくところにすごく意味があるように思うのです。

顧客との関係だけではありません。上司部下でも同じことです。

部下が上司のところに報告なり相談なりをしにいったとします。用件が終わった時、上司が「他に何かあるかな?」「他に困っていることない?」「他にボク・わたしが動いておいたほうがいいことある?」という「他に何か?」質問をすると、その時、「はっ!」と思い出した部下は、ここぞとばかりに相談や新しい報告などをするかも知れません。

人間、いつでも明確なアジェンダ(話したいコト)を持っているとも限らず、だから「他に何か?」と問いかけられたら、そこで初めて考え、言葉にすることができる場合もあります。また、アジェンダはあるけれど、わざわざ上司のところに行ってまでは言わないなあ、という些細なトピックの場合、「他に何か?」という問いが誘い水となり、話しやすいというケースもあります。

そういえば、以前、ある有名通販会社に「届かなくなったカタログを再度送付してほしい」と依頼TELをしたところ、住所などの確認後、電話を切ろうとした私に、オペレーターさんは、「他に何か気になっていることはありますか?」といった質問をしてくれました。その時、ふっと『あ、あれ、注文しようと思っていたんだ。ずいぶん前に見かけたから、型落ちしていると思っていたけど、訊いてみるか』と思い出し、口にしてみると、しばらく調べてくださり、「あ、ありました!注文なさいますか?」と・・・あれよあれよと、一つ注文してしまったこともありましたっけ。

なんてことない問いかけだけれど、「他に何か?」とは、とてもパワフルな質問な気がします。「他に何か?」と言われたら、誰もが間違いなく一度は頭の中で思考を巡らせるからです。



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