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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

ホウレンソウが難しい。

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「こんなに頑張っているのに、全然評価してもらえない」
「うちの上司はどこ見てるんだか」

・・・・・という嘆きを聞くこともありますが、上司に訊いてみれば、

「だって、何してるんだか、わからないんだもん」
「勝手に何かしているらしいけど、細かい報告がないから、把握しようがない」

という声も聞こえてきます。

そりゃ新入社員とか若手という部類であれば、「今日は何をする?」「明日は?」と予定を尋ね、「今日は何をした?」とまた確認もするでしょうが、中堅、ベテランになってきたら、上司からいちいち細かく尋ねることなどないでしょう。特に、現代のように、自律的に動くことが求められている世の中、またマネージャもプレイヤー兼任だったりすれば、部下からのホウレンソウがないと、上司も把握しきれないというのはすんごくわかります。

「ちゃんとホウレンソウしてます?」

「色々やっているんだけど、いちいち報告するのもなんだし。だって、まだ結果出てない、仕掛中なんてこともあるし」
「だいたい、これもやりました、あれもやりましたというと、なんか自慢しているみたいだし」
「自分をアピールしている感じがして、どうも・・・」

なるほど、なるほど。

これ、日本人っぽいですね。奥ゆかしい。

きっと他国であれば(って、どこの国か具体的には挙げづらいですが)、「これは私がやりました!」とアピールしておかないとダメというか、アピールするのは当然だったりするのでしょうが、「わざわざ言うほどでもないし」「自分がやった、なんていうの、なんかカッコ悪いし」と躊躇するようです。

ホウレンソウって、だから、実はすごく難しいのですよねぇ。

若手が「ホウレンソウがなっとらん」とよく注意されるのは、「タイミングが悪い(遅い、早すぎる)」「手段が違う(メールじゃなくて口頭で言いなさい、など)」「相手が間違っている(彼ではなく、まず私に言うべきでしょう?など)」など、どちらかというと5W1H方面での齟齬が原因のようです。

が中堅・ベテランになってくると、「そもそも把握できない」ということで上司は困惑、部下も「アピールするのカッコ悪いし」と持ったりして、ここにギャップが生まれる模様。

難しい、難しい、ホウレンソウ。

ところで、以前、30代の部下(こんな私にも部下がいたことがあります)が、「ホウレンソウってなんですか? 食べるほうれん草のわけはないけど。部長が”ホウレンソウ”と連呼していて、何を説教されたかわからなかった」とぼそっと言ったことがあります。

彼女は30代になるまで「ホウレンソウ」という言葉を聞いたことがなかったんだそうです。最近も「ホウレンソウって初めて聞いた!」という、やはり30代の男性にお会いしました。かなり普及した言葉かと思っていましたが、そうでもないのかな。

ちなみに、ホウレンソウのうち、「報告」と「連絡」の違いって分かりづらいんですよね。

報告は、「指示」←→「報告」という関係にあり、基本的には、上下関係でなされるもの。

連絡は、「知らせたほうがいいと自分が感じたこと」を上下関係に関係なく、知らしめること、です。

しかし、(以前もどこかで書いたのですが)たとえば、

「課長、ご報告したいことがあります。実は、結婚することになりまして」

とはいうけれど、

「課長、ご連絡があります。実は、結婚することになりまして」

とは言わない。いや、言ってもいいのですが、「連絡って、ずいぶん事務的な言い方だな」と思われる気がする。

んでも、この場合、

課長に「結婚しろ」と「指示」されたわけではなく、あくまでも、「結婚の連絡」なんですが、なぜか、結婚は、「報告」なんですなー。

なぜでしょう?

・・・・

ってことを書いた時、「えー!?、淳子さん、結婚することになったの?」と社内が騒然としたことがあるので、これは、フィクションです、と断っておきまする。

9月もどうぞよろしくお願いいたします。

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