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人材育成の現場で見聞きしたあれやこれやを徒然なるままに。

イマドキの「ふつうに」を考える。

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「イケてる」「イケてない」と新入社員が言い始めたのは、16-7年前だったように記憶しています。「このプログラム、イケテない」「このフローチャート、イケてる」などなど。「なんだ?」と不思議に思っている内に、中高年まで使うようになり、今や、「イケメン」という言葉が広く使われるようになったことからも、それなりに日本語として定着したものと思われます。

「チョー」も流行りましたねぇ。もちろん、今でも使われなくもない。

「ヤバい」が「褒め言葉」として使われ始めたのも4-5年前?あるいはもっと前かも知れません。

3年ほど前のOJT担当者研修で、あるOJT担当者の方がこう話してくださいました。

「うちの新人が、”先輩、これ、ちょっとヤバくないっすか?”というので、何かトラブルでも起こったのかと詳しく尋ねるといい意味で使っているんですよね。驚きました!(笑)」と。

まあこんな風に言葉は生きていて、色んな言葉が生まれ、あるものは定着し、あるものは消え、あるものは形を少しずつ変えて残り、といつの世も同じことが繰り返されるものではありますが、私が最近、非常に気になっている、というか、注目している「物件」は、

「ふつうに」

です。

立て続けに2つの用例を見かけたのです。

1. 「初めて呑む先輩と呑みに行った。ふつうに楽しかった♪」

2. 「ナスとピーマンを○○して、××を加えてみたら、ふつうに美味しかった♡」

どちらもネット上で見かけた文章です。

この「ふつうに」はどういう意味だろう?とTwitterやFBで問いかけてみたら、若者ではないお友達がいろいろと反応してくれました。

「可もなく不可もなく、という意味かな」「本当は不本意だけど、まあいいか、という自虐的なもの?」などなど様々です。
でも、ちと違う気がしたので、ずーっと考えておりました。

よく考えると上記2つの用例は、どちらも同じコンテキスト(文脈)で使われているような気がします。

1. あることに初めて挑戦する
2. 「どうなんだろう?」と不安、多少懐疑的。でも、完全に「嫌」ではない
3. そこには、ある程度の「期待」がある
4. 実際にやってみた
5. よかった
6. このことを「意外に」と表現するのはちょっと違う気がする。なぜなら、「意外」ではなく、もとより「多少の期待」があったから
7. だとしたら、これは、「ふつうに楽しい(美味しい)」がフィットするのではないか

・・・ 予想外ではなく、ある程度「いいほうに転ぶ」予想はしていたから、「意外に楽しかった」ではなく、「ふつうに=いつも通り」楽しめたよ、とか、「普通に=他の料理と同様」美味しかったよ、という意味ではないかしらん。

だとすると、「ふつうに」は、一見、つまらなそうに見える言葉だけれど、「褒め言葉」の領域に入る気がするんですね。

100点満点の50点ではなく、80点くらい。

「すごーくよかった」わけではないけど、「±0」ではなく、「よかった」と。

・・・・

こういうことは、きっとググってみれば、どなたかが詳説してくださっているのでしょうが、脳みそもとろけそうなこのアヅい土日、一人考察してみたのであります。

その内、こんな会話が仕事場でも聴かれるようになるかも知れません。

「この提案書、ふつうにいいね」。

たぶん、褒められていると思われます(笑)。

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