自分では自分の「成長」がわからない。だから、先輩が「成長したよ」と教えてあげることが大事なのだ
今年私が担当する新入社員研修はすべて終わり、再び「OJT支援」の仕事に戻ります。来週から「OJT三都物語」の再会です(今回の三都は、「東京・大阪・名古屋」です)。
4月にお会いした新入社員のみなさんに、2か月ぶりの再会。そして、仕上げ研修としてちょっとした仕掛けのあるプレゼンテーション演習を行いました。(実務に相当近いレベルのもの)
全員が、すごーくしっかりして、いい表情になってきて、しかも、プレゼンが上手になっていました。言葉づかいも破綻なく、本当にすごい変化です。
しかし、彼ら・彼女らの「振り返り」をみて、あ、そうか、そうだろうなあ、と思ったのが以下の点。(日報にこんな感じのことが書いてありました。コピーではありません、ニュアンスの再現です)
「私はこの2か月で成長できたのだろうか。同期を見ていると成長しているのがわかる。きっと、同期から私を見れば、私だって成長しているのだろうとは思うが」
「自分が成長できているかどうかがわからず、不安だ」
「以前と比べて何ができるようになったのだろう? 成長できているのだろうか。あきらめずに頑張ろう」
・・・
自分の成長って、そうそうわかるものではないですよね。半世紀近く生きていたって、それほど実感できるものではない。
ましては、新人です。不安で不安で仕方ない。自分は成長できてなくて、みんなに「ダメだなあ」と思われているのではないか。そんな風に考えるのは、しごくまっとうな気がします。
だから、先行き上司、先輩は、気付いた成長ポイントは、どんどん本人に伝える必要があると思うのです。そうすれば、成長を実感できるし、ある程度自信も持てるし、自信が持てたらさらに難しいこと・新しいことを挑戦しようという気持ち(モチベーション)も湧いてくるに違いないから。
以前、あるOJT担当の方がこういう話をしてくださいました。
「日々のコミュニケーションとは別に、新人と月に1回面談しているんですが、ボク、最初にこう聞くんです。『この1か月で成長できたことは何? なんでもいいから、言ってみて』。すると、後輩はたいてい、『いやあ、何もないです。ダメです。1か月前と変わっていないです』と答えます。そこで、ボクは、『そうか、そう言うけどさあ、思い出してご覧。先月、電話の取次ぎ失敗して、切っちゃったじゃん。でも、もう間違えて切っちゃうなんてことなくなったよね。議事録、3回ダメ出しされたけど、今は1回の直しで合格もらっているしね。それから・・・・とあれこれ小さな変化を口にしていくんです。すると、後輩が『あ、そういうことでもいいのか。そういえば、上達したこともあるなあ』と自覚できるし、そういう自覚をしながら、さらに上を目指してほしいと思っているんです」
・・・いい話だなぁ・・。(こういう話、大好きです)
自分の成長はそうそう自覚できません。
その時、近くにいる他者が「あなたは、ここが伸びたよ」と教えてあげたら、その点を自分でも意識できるようになることでしょう。
新入社員の場合、とにかく、「職場になじむこと」そして「自信を付けさせること」。最初にすべきことはこの2つのように思います。(仕事を覚えさせるとかあれこれ挑戦させるとかは置いといて、精神面では、です)
自信は他者のフィードバックによって得られるものが多いはず。
だから、先輩たちは「できて当たり前」と自分目線で判断せず、後輩目線に下がって「できるようになったなあ」と言ってあげたほうがよいのです。
格別ベタ褒めする必要はありません。「すごい」「すばらしい」とまで言わなくてもよいけれど、単に「できるようになったね」という事実を指摘する、それだけで十分です。
小さな変化を見逃さず、細かく言葉にする。
それを聴いて、新人たちは少しずつ前に進めるものだと思います。
※ちなみに、私も「成長を指摘されるとさらに伸びるタイプ」です(笑