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ピリピリした職場にまず必要なのは「コミュニケーション研修」ではなく「話すって大事だな」という体験

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こんにちは、しごとのみらいの竹内義晴です。

先日、友達から相談を受けました。

友達:「竹内さんの得意な分野って何ですか?」

竹内:「話を聞いたり、職場のコミュニケーションを改善したりするのなら得意ですよ」

友達:「実はうちの会社、利益はそこそこ出ているんですけど、社内のコミュニケーションが全然よくないんですよ。会社って、利益を出すためにあるじゃないですか。だから社長は利益重視。でも、社員の思いはそんなに利益に向いていないので、社長は社員の動きに不満があるし、社員は利益重視の社長に不満がある。なので、社内はいつもピリピリしているんです。これをなんとかしたいなと思っているんです。」

この話を聞いて、「こういう組織って、ひょっとしたら多いのかもしれないなぁ」と思いました。中小企業の経営者にとって、利益を重視することはある意味当然のことかもしれないです。創業者なら苦労した時代もあったでしょう。利益が出ないのは本当に苦しい。言い換えれば、利益を重視するのは「社員を守る」という使命感の裏返しとも言えるかもしれません。

友達:「竹内さんってコミュニケーションの研修ができるんですか?コミュニケーションの研修をやったら変わりますか?」

この一言を聞いて、こう答えました。

竹内:「コミュニケーションの研修はできますけど、その前にやったほうがいいこと、あるんじゃないかなぁ」

もちろん、研修をやること自体はできなくはないんですけど、いくらコミュニケーションのスキルが身についたところで、お互いの価値観に「話しても無駄だ」「どうせ話を聞いてくれない」みたいなものがあったら、研修をやっても、あまり変わらないんじゃないかなぁと思いましてね。

友達の話を聞いて、ボクは「まずはこの経営者の話を聞いてあげたいな」と直観的に思いました。会社を、社員を、その家族を守るために経営者は一生懸命がんばっている。経営者ってね、立場上周りの人には言えないこともいっぱいあって、意外と孤独な稼業なんです。ちょっとガスを抜いてあげたいなと思ってね。

「話をする」というのは結構大事なんです。実はボク、昨年末から今年の頭にかけて、近しい立場の友達にお願いして話を聞いてもらったんです。近しい立場だから「そう、そうなんだよね」ってことが結構あって、お互いが分かり合える感覚がうれしいし、普段話さないことを言葉にすることで、頭の中が整理されるんだね。話すとスッキリするんです。それに加えて、やりたいこととか、やらなければいけないこととかが明確になったり、何気ない第三者の話に「なるほどな」と思ったりもしました。

「こういうのって、すごく大事だな」って思ったんです。

経営者は経営者なりの、経営幹部なら経営幹部なりの、管理職なら管理職なりの、一般職なら一般職なりの、「言いたいこと」ってあると思うんです。けれども、社内の人だと、立場とかいろいろあって、本音ってなかなか言えないじゃないですか。だから社外に、立場に関わらず仕事の話ができる人や、その仕組みがあればいいのになって思います。

「職場のコミュニケーションが大事だ」とはよく言うものの、実際は、それがなかなか難しい。だから、いきなりスキルを教えても、たぶん使いこなせない。でも、定期的に「話をする」「自分の話を聞いてもらう」という体験をすると、「話すって大事だな」というのが身体感覚として分かってきます。そうすれば、コミュニケーションも自然とよくなって、ひょっとしたら研修をやらなくてもよくなってしまうかもしれません。

友達には、そんなことを話したんです。

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